閑話(27.5)


一方その頃、真選組屯所にある局長室にて話し合いが行われていた。部屋に居るのは松平、近藤、土方、沖田の4人である。
松平からの一方的な報告に、まずは沖田が声をあげた。

「はぁ?見合いですかィ?」
「あぁ。昔から続く名家の一人娘でな。親父さんとは昔馴染みなのよ。」
「はあ、で?なんでそんな話になったんで?」
「娘が社会勉強と称して街へ出稼ぎに行ってるらしいんだが、男の影も形も無いって嘆いててなぁ。おめぇ等を紹介する事になったっつー訳よ。」
「へぇ、出稼ぎなんて偉い娘さんじゃあありやせんか。良かったですねィ土方さん。これでアンタが職を失っても大丈夫でさァ。」
「なんで俺が見合いする事になってんだよ。大体副長の座も譲らねえぞコラ。」
「俺はまだ花の十代ですぜィ?まだまだ青春を謳歌したい年頃なんでさァ。土方さんはいい年なんですから丁度良いじゃないですかィ。」
「とっつぁん、その娘は何歳なんだ?」

近藤が少しワクワクしながら松平に尋ねた。松平はフーッと煙草の煙を吐き出して言った。

「18だ。」
「ほぉ、良かったなぁ総悟。お前と同い年だってよ。こりゃあ俺みたいな年上よりもお前のほうが話も合うだろ。お前が行け。」
「女っつーのはいつの時代も甲斐性のある年上の男に憧れるもんでさァ。お前が行け土方。」
「いやいや、やっぱり同い年くらいが丁度良いもんだろ、年齢差を感じる事少ねぇ訳だし。お前が行け沖田。」
「いやいや、土方さんが。」
「いやいや」
「いやいや」

パァァァアアアンッッッ!!!

「「…」」
「あ…あっぶねー!!とっつぁん俺ェェエ!俺に当たる所だったァァアア!!」

戸惑いなく撃たれた銃弾は、近藤の足元スレスレに当たった。それを気にする事なく煙草をふかし、サングラスの奥から鋭い目つきをした。

「ゴチャゴチャ煩えな。二人とも行きゃあいいだろぉが。」
「「え。」」
「んじゃあ決まりなぁ。次の日曜だから。」
「帰るのかとっつぁん?」
「あぁ、じゃーな。」

言うことだけ言ってサッサと帰っていく松平に、土方と沖田はお互いに相手を一瞥してから溜め息を吐いた。