閑話(28.5)

とある高級料亭にて。いつもとは違い、渋い色の着物に袖を通し、袴を穿いて溜め息。一緒にいる土方さんも普段道場でしか穿かない袴を身に付けている。お互いに溜め息が漏れるのは仕方の無いことで。
今日はとっつぁんに突然言われた見合いの日当日だ。

「チッ、なんで俺がこんな格好しなきゃなんねえんでさァ。」
「いつまでも文句言ってんじゃねぇよ。俺だってまだ書類が山のように残ってんだからよ。」
「文句だって言いたくなりまさァ。俺今日は団子食いに行くって決めてたんですぜィ。なのに見合いとか…ハァ。」
「そういやお前、最近非番の日よく出掛けてるな。そんなに美味いのかそこの団子。」
「残念ながら犬の餌は置いてないんで。」
「犬の餌じゃねえ。マヨを馬鹿にすんな。」
「安心してくだせェ、土方さんを馬鹿にしてるんでさァ。」
「んだとコラ。」

軽口を叩きながらお互いに肩を落として廊下を進む。早く終わらせて団子屋に行こうと心に決めて、近藤さんが待っている部屋の襖を開ける。

「近藤さん、とっつぁんは?」
「あぁ先程連絡があってな。予定がつかなかったらしい。」
「んじゃ俺帰っても良いですかィ?」
「ええええ!?ダメ!ダメだぞ総悟!」
「なんでですかィ?土方さんが居るじゃないですか。」
「さっきの話聞いてた?俺仕事残ってんだけど。」
「俺なんか滅多に無い非番潰されてんですぜィ?はぁあ幼気な少年を何処まで過酷な労働条件のもと働かせる気でィ。過労死したらどうすんですかィ。」
「安心しろ。過労死するとしたらお前じゃなくて俺だから。」
「ハッハッハッ、まぁそういうな総悟!とっつぁんからの言伝で二人ともキチンと参加させろって脅されてんだ。それに、もしかしたら可愛い子が来るかもしれんぞ?」
「それこそどうでもいいです。あー眠ぃ。」
「オイこら、アイマスクすんじゃねー。流石に失礼だろうが。」
「後は任せやしたフォロ方フォロー四郎。」
「オイィィィィイイイ!寝るなァァァァアア!!」

相変わらず煩え野郎でィ。けどまぁ副長なだけあって部下の尻拭いはお手の物。後は任せやしたよ土方さん。