参拾参

季節の変わり目だからなのか、肌が乾燥するなーと思っていた矢先に坂本さんからボディミルクが届きました。気が利くというか大きなお世話というか。



「そのクリーム何処で手に入れたのですか誰に塗ってあげるのですかあぁ羨ましい宜しければ私にも塗りたくってくだ…」
「去ね!」

ガッと背中を蹴飛ばしそのまま踏みつけるまさちゃん。あまりの形相に口出しが出来なかった。
お客さんの居ない時間帯、まさちゃんにボディミルクを見せて試していた時の事だ。その男はいつの間にか近くに立っていて、ビックリした同時にノンブレスで話し始めた。

彼はすみませんすみませんと謝った後、コホンとわざとらしく咳をして言った。ボロボロだよ…東城さん。

「失礼致しました。私は東城歩といいます、宜しくお願いしますユキさん。」
「あ、どうも…。あれ?名前…」
「いだっ!あ、ああああれですよ、ずっとつけていたから知ってるとかじゃなくてですね、まさ殿に聞いたのですよ!」
「あ、ああそうなんですか。」

まさちゃんがゲシッと蹴りを入れてるのが気になって殆ど耳に入ってこなかった。なんて?まさちゃんに聞いたって?へぇ。

「それでぇ?アンタは何しに来たってぇ?」
「いえね、そのボディクリームって今宇宙で流行っているやつですよね?私も若の為に手に入れようとしているんですけど、なかなか手には入らなくて。」
「へー」
「あの、まさ殿もう少し興味持っていただけませんか?来週には若が帰ってくる予定なので、それまでに手に入れたいと思っているのです。」
「ふーん」
「ですのでユキさんにそのクリーム何処で買ったのか、どうやって使うのかを手取り足取りじっくり教えていただこうと…いでででで!」

へぇ、九兵衛さん帰ってくるんだ。ってことはそろそろ柳生編?へーへー、気になるなー気になるなー。乗り込んだ時の銀さんの台詞格好良いよね。…まあ関係ないから行かないけど。
ってん?なんか東城さんが唸ってるぞ。チラリと足下を見るとまさちゃんがグリグリと東条さんの足を踏んでいた。

「えーと東城さんスミマセン。このクリームは頂き物なんです。」
「おやそうなんですか。それは残念です。」
「一応御礼の手紙書くので、もう一つ手に入れる事が出来るか聞いてみましょうか。」
「おーっ、それは有難い!ありがとうございま…ブベラッ」
「触るな変態がぁっ!」

私の手を握ろうとした瞬間、東城さんは消えた。まさちゃんに蹴飛ばされて。
今日のまさちゃんだはなんだかアクティブだなぁ。地面に落ちた東条さんを見てぼんやりと思った。