参拾肆

こんにちはユキです。久し振りの休日です。天気が良かったので、街を散策しつつお昼ご飯を食べようと外を歩いています。




可愛らしいお店を見つけ、店頭で小物を手にとって眺めていた時のことだ。土方さんと栗子ちゃんを発見した。

「マヨラ様!何処に行くでございまするか?私もご一緒するでございまする!」
「え、いやちょっと煙草とマヨを……ってぇ!!」

土方さんとパチリと目があった。なんだ、此処は見てない振りをしたほうがいいのだろうか。瞳孔の開いている目はいつも以上に見開いていて、ぶっちゃけ怖い。くわえていた煙草をポロリと零して(あ、ポイ捨てだ)土方さんはフリーズした。
土方さんの視線に気がついたのか、栗子ちゃんがコテンと首を傾げて問いかけてきた。

「どちら様でございまするか?」
「え?えーと、顔見知りです。」

視線がバッチリ合ってしまっているので無視するわけにもいかずに応える。顔見知り、だよね。名乗ってないくらい他人で、お友達でもないし。

「そうなんでございまするか!私は松平栗子と申しますでございまする!」
「あ、はじめまして。」

ぺこりと頭を下げられたので、此方も頭を下げる。チラリと視線を上げれば、土方さんが忙しない手つきで煙草に火をつけようと奮闘していた。なんか浮気がバレた旦那みたいだ。いや、経験ないから想像だけれども。
それにしても栗子ちゃん可愛いぃぃ!ぱっちりした大きな瞳にキレイに揃えられた短い髪。流行りのミニ丈の着物を着て可愛らしい笑顔を撒き散らす栗子ちゃんは、文句無しに可愛い。
そういえば土方さんがデートした時、めっちゃいい感じだったもんね。土方さんキュンキュンしまくってた。そっかそっかーと頷きながら土方さんを見上げる。

「こんにちは土方さん。」
「!おま、名前…」

眉間に皺を寄せて睨んでくる土方さん。怖いっす。てか名前?名前って何?あ、そうえば名前で呼べって言われてたっけ。…まぁいいか。

「お二人はデートですか?」
「デートだなんて恥ずかしいでございまする!」

顔を赤くして頬に手を当ててモジモジする栗子ちゃん。…可愛いぃぃぃ!!なんか微笑ましいな。

「じゃあ私はこれで。」
「え。」
「はいっ!またお会いしましょうでございまする!」
「え?お、おい」
「はい、また。」
「ちょ、おい待…」
「マヨラ様っ私達も行きましょうでございまする!」
「え、いや、ちょっ…!」

土方さんにもぺこりと頭を下げて背を向ける。栗子ちゃん可愛かったなー。