参拾伍

こんにちは。最近見かけた真選組隊士達の顔がボコボコで思わず凝視してしまいました。事件…にしては近藤さんの状況と似ていたような。





街で偶然見かけたその姿に驚いて、思わず駆け寄ってしまった。

「沖田さん!」
「え、あ、ユキさんっ?」
「足…どうなさったんですか?」

彼は松葉杖を付いて私服でひょこひょこと歩いていたのだ。
顔にも傷があるのか、大きな絆創膏が貼られていた。

「えーっと、クソチャイ…いや、凶暴な天人にやられまして。」

今チャイナって言いかけた?神楽ちゃん?これやったの神楽ちゃん?

「大丈夫…なんですか?」
「はい、ただの骨折でさァ。」

力無く微笑む総悟くん。骨折って結構重傷だよね。そういえばこの間東城さんが九兵衛さんが帰ってくるって言ってたよね。じゃあ柳生編が終わったんだ?そういえば総悟くん骨折してた気がする。神楽ちゃんに蹴られてポッキリと…って、あれ。

「あの、俺そろそろ…(こんな格好悪い姿見られたくなかったんでさァ)」
「あ、すみません。あの、あと一つだけ…沖田さん。」
「は、はい…?」

なんか総悟くんがしょんぼりしてる。傷が痛むのかな。そりゃそうか。
取り敢えずこれ以上引き止めるのは良くないと思い、持っていた巾着から元の世界から持ってきていた絆創膏を一枚取り出した。以前に近藤さんに渡したのと同じやつだ。

「コレ使って下さい。」
「へ…」
「腕のところに傷が。」
「あ。」

私が指を指すと、総悟くんは確かめるように左手をあげた。そこには小さいけれど確かに切り傷がある。私は絆創膏を捲ってペタリと貼り付けた。
こんな世界だ。総悟くんはこういった怪我に慣れているのかもしれないけれど、それでも。

「恥ずかしいかもしれませんがコレしかなくて。」
「い、いえ。ありがとうございやす。」

総悟くんの顔が赤い。そんなにこの絆創膏恥ずかしいかな…。着物の袖で見えなくなるだろうし、近藤さんは顔に貼っていたしなぁ。いやでも男の子だもんなぁ。ゴメンねコレしか無くて。

「じゃあ引き止めてすみませんでした。お大事になさって下さいね。」
「あ……」

小さく礼をして歩みを再開する。2、3メートル程進んだ所で、後ろから声が聞こえ振り返った。

「ユキさんっ…」
「?はい。」
「ありがとうございやす!」

顔を赤らめながらも力強い表情でお礼を言う総悟くん。

「…はい。」

少し気恥ずかしくなってへらりと微笑んだ。