いらっしゃいませ。衝撃の現場を見た翌日、偶然見かけたゴ…近藤さんが頬に可愛い絆創膏を貼っていて少し笑ってしまったユキです。




今日は日曜日ということもあって、お店は大忙し。厨房は大将に任せ、私も接客に回る。今日はまさちゃんが休みで、女将さんと店内を走り回る。
忙しい。とにかく忙しい。いつもはまさちゃんも居るのだが、今日はどうしても外せない用があるらしく、バイトを休んでいる。

「すいやせーん。」

「はーい!」

聞こえた声に反射的に反応し、お茶を持って近寄る。ん?あれ、この人…。
茶髪に黒服、くりくりっとした目に甘いマスク。

「みたらしと胡桃団子お願いしやす。」

「はーい。」

注文をとり、さっさと背を向ける。
沖田キタアァァァァ!!

いやいや落ち着け私。私はただの団子屋の店員。よしOK。
大将に注文を通して、レジに行き、他のお客さんのお会計をする。
ふー、だいぶ店も落ち着いてきたかな。
大将から団子を受け取り、総悟くんに持っていく。

「お待たせしましたー。」

「どうも。俺時々この店来るんですけど、お姉さん初めて見やした。手慣れてるし、新人って訳じゃなさそうですねィ。」

時々来てたんだ。全然気付かなかった。

「え?えぇ。普段はほとんど厨房なので。」

口いっぱいに団子を含んでもぐもぐする姿は可愛い。なんでこの子こんなに可愛いんだろ。

「じゃあ、ごゆっくり。」

ペコッと頭を軽く下げ、奥へと逃げ込む。

「ユキちゃん、休憩行ってきていいわよ。」

「はーい。あ、外出ますけど、買い出しよかったですか?」

「うん、大丈夫よ。いってらっしゃい。」

「はい、いってきます。」

エプロンをはずし、がま口の財布を手に取る。15時前にもう一度波が来るので、今のうちに昼食を食べに行こう。



店を出るとき総悟くんと目が合ったので、頭を下げておいた。
大将に聞いた、安くて美味しいっていう定食屋さん目指して歩き出した。