その後A
柔らかい日差しが窓から差し込み、小鳥の声が小さく鳴く穏やかな朝。まだ眠る息子に軽くキスをしてから、ジャケットを腕に持ちネクタイを締めながらダイニングに行けば、トントンという包丁の音にジューッとフライパン上で焼ける朝食の良い香り。
「おはようリリー!今日も君は素敵だね!!」
「あら、おはようジェームズ。」
可愛い大好きな奥さんに癒やされながら始まる朝は、なんて素敵なんだろう!!椅子の背を引けばテーブルに珈琲が置かれ、それににっこりと笑ってお礼を言う。
「ありがとうリリー。」
「朝食もすぐ用意するわね。もう少し待っててくれる?」
「勿論さ!」
珈琲に口を付ければ、コンコンと窓を叩くいう音が聞こえる。窓に目を向ければ数羽の梟が居て、立ち上がって窓を開ける。その中に見覚えのある梟が居て思わず顔をしかめる。その梟がいつものようにリリーの方に飛んでいったのを視界の端に留めながら日刊予言者新聞を手に取り、梟用に用意したクッキーを皿ごと窓際に置く。梟達がそれに群がるのを眺めていると、リリーに届け終わったらしい梟がやってきてクッキーをつまみ始めた。飼い主が気に食わなくても動物に罪は無いのでその様子を見ていると、愛しのリリーが声をあげたので驚いて彼女を見つめる。
「まあっ!!」
「どうしたんだいリリー?」
「…ええ、そう…本当なのね!?」
「リリー?」
手紙を読みながら嬉しそうに呟くリリーに首を傾げながら近付く。そもそも、アイツの手紙であれほど喜ぶ姿は珍しいし、とても気に食わない。
「何かあったのかい?」
「ジェームズ、ええそう…あぁどうしましょう!」
「スニ…スネイプだろうその手紙。」
「そう、そうよ…ねぇジェームズ!私ホグワーツに行きたいわ!!今すぐにでも!!」
「えっ?」
嬉しそうに、だけどその目が潤んでいるように見えて僕は小言や嫌みも忘れてリリーを見つめる。
「で、でもホグワーツ特急が出るのはまだ先だろう?姿現しだって出来ないようになっているし…。」
「そう、そうよね。でも…あぁそうだわ!ダンブルドア先生に手紙を書くわ。ねえジェームズ、アナタも一緒に来てくれるでしょう?」
「え?あ、あぁ勿論だとも!」
「是非アナタにも紹介したいと思っていたの!」
誰を?と尋ねる間もなく手紙を大事そうに抱えて部屋をクルクルと回り始めたリリーに目を見張る。
「あぁ楽しみだわ!セブにも手紙を返さなくちゃ!!」
こんなにリリーが喜ぶ姿を、あまり見たことが無かったから。幸せそう涙を浮かべるリリーに、なんだか僕まで嬉しくなって頭の中で仕事の調整を行うのだった。