その後B


「…はあ」
「た、溜め息吐かなくても…」

十数年の年月を経て、漸く出会う事の出来たと思われる相手。しかし、そんな彼女は今年の新入生で、更に言えばスリザリン生では無かった。
なのでスリザリンの寮官であるセブルスが他寮の、しかもまだ授業などで関わりの無い生徒を呼び止めるというのは不自然。
なので梟便にて例の場所に呼び出した訳なのだが。

「まさか迷子とは…」
「い、一回行っただけで覚えれる訳ないじゃない…ですか、教授」
「また取って付けたような敬称を…」
「いや、一応生徒と教師だからね」

時間になっても訪れる事の無かった彼女。だけど人違いという思いは全く無かったので、階段を下りて彼女の寮へと向かおうと足を向けた時だ。少し小走りにやってきた彼女にホッと安堵の息を吐いた、のだが。遅れた理由は迷ったから。…何をやってるのだお前は!!

「はぁ、まあいい」
「す、すみません」

不服だと明らかに顔に書いてあるが、そこは見なかった事にしてやる。まあ実際、コイツが居たのは一週間程らしいのでこの学校をどれくらい把握しているかなど、高が知れているのだが。

いつものように変化させたソファに座らせたユキは、11歳というだけあって隣に座る私と比べるまでもなくとても小さい。

「それにしてもよく覚えてたね。だってあれから…」
「11年だ。」
「あ、そう?そんなに経ってるのに。見た目だって声だってリリーだったわけだから、参考にならないじゃない?」

そう言われて再び彼女をじっくりと眺める。リリーの赤みがかった髪とも、自身とも違う艶のある黒髪。アジア人の特徴だろう、同学年の生徒と比べても幼い顔立ちに小柄な背丈。
だけど、あの時私は一目見てユキ・ヨシダは彼女自身だと確信していた。明確な理由は分からないけれど、強いて言うなら心が彼女を求めていたからではないだろうか。名前が同じであったことなど、後から付いた理由に過ぎない。自身を偽らずに話せる存在。年上のように聞き上手で、年下のようにはしゃぎ、母親のように諭す。短期間ではあったけれど、あの数日が確かに自身の転機であったと言えるのだから。

「…」
「あれ、ノーコメント?もしや独特の凄い人オーラが出てる?」
「はぁ…」
「溜め息はんたーい。」

そんな事を私が考えているなど、絶対コイツには教えてやらんけどな。
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