その後C
「いいユキ?思いっっ切りよ!」
「う、うん…」
「…」
ホグワーツに着いてから数刻。校長との挨拶もそこそこにスニ…スネイプの研究室へ行ったリリーを探しに奴の部屋を訪れると、そこには異様な光景が広がっていた。
部屋には愛しのリリーとスネイプ、そして小柄な女子生徒が一人居て、リリーがスネイプをビンタするように女子生徒にけしかけている所だった。
「…どんな状況!?」
思わず叫んでしまったのも仕方がないと思う。
────
ダンブルドア先生からホグワーツ行きへの許可(方法なども書かれていた)が出た翌日。本当に嬉しそうに笑顔を振りまくリリーと、僕が急遽仕事を休むと知って便乗してきたシリウス、そして僕の三人はホグワーツを訪れていた。
「おぉ、三人とも久しいの。」
「ええ本当に。」
「お久しぶりです先生。」
「お元気そうで何よりです。」
校長室を訪れれば、にこりと変わらぬ笑みで迎えてくれる先生。懐かしいなぁ。
「どれ、紅茶でも如何かな?クッキーも出すとしよう。」
「あの、ダンブルドア先生。私…」
「あぁそうだったねリリー。先生、彼女スネイプに用事があるらしいんです。彼は何処に?」
「おぉ、そうであったな。聞いておるよ。セブルスならもうすぐ来るじゃろうて。」
先生がチラリと入口に目をやればほぼ同時に仕掛けが動き、黒ずくめの一人の男が入ってきた。
「噂をすれば来たようじゃな。」
「失礼します。…リリー。」
「セブ!!久しぶりね!!」
「あ、あぁそうだな。まさかこんなに早く来ると思わなかった。」
「だって早く会いたいんだもの!!今は何処に?」
「私の研究室だ。」
「すぐ行くわ!!先生、また後で。行きましょセブ!」
「あぁ、失礼します。」
満面の笑みで校長室を後にするリリー。その様子を出してもらった紅茶を一口飲みながら眺める。すると彼女の興奮具合が気になったのか、シリウスが首を傾げた。
「……スネイプの奴珍しいペットでも手に入れたのか?」
「僕にも分からないんだ。リリーも紹介するって言っていたけれど。」
リリーが僕に紹介するって言ったのだから、スネイプとの秘密というわけでは無いのだろうことに安堵したので余裕を持って彼女を送り出せた。もし秘密って言われてたら、透明マントでも何でも使って解明していただろうね。
校長先生と暫くお茶をして、懐かしの校内を廻りつつ少し早めにスネイプの研究室を訪れたのだ。
そして冒頭に戻る。
「…ユキ・ヨシダです。」
「ぶっ、くくく…ご、ごめん。僕はジェームズ・ポッター、リリーの夫さ。」
「ぶはっ、くくっ、お、俺はシリウスだ。シリウス・ブラック。」
僕らが笑っている理由としては、スネイプの頬に赤く紅葉が咲いているからで。良い音がしたと思ったけれど、相当思いっ切り叩いたのだろう少女に笑いながら挨拶をする。
「ま、これで不問にしてあげるわ。」
「あぁ、本当にすまなかった。」
「済んだことよ。」
僕らが挨拶を交わしている片隅で、リリーとスネイプは握手をし、リリーがスネイプに抱き付いた。
「あーーーっっ!?」
「これもユキのお陰ね、本当にお帰りなさいっ!」
「うぶっ、リ、リリー。ただいま。」
スネイプから早々に離れ、今度は少女を抱き締めるリリー。それに安堵の溜め息を吐くと、隣でシリウスが首を傾げた。
「どういうことだ?」
「さぁ?」
「さぁってお前…」
「リリーが幸せなら僕は良いのさ。」
「あ、そうすか。」
シリウスの呆れた視線など物ともせず、僕はリリーの幸せそうな顔を目に焼き付けた。