未来に芽吹く

世界に一つだけだと言われている島にある港町フィッシュベル。
随分辺鄙な町だなぁと思って過ごした幼少時代。特に学校に通うことなく、前世の癖で身体を鍛えつつ日々子供らしく遊んでいた。
私には兄が一人と海の男の父、そして何事にも寛大な母が居る。町には子供が少なく、同い年くらいの子供は近所のお金持ちの娘で幼なじみのマリベルが居て、私たち三人は自然と一緒に居るようになった。

私が三歳くらいの時だろうか。
島にはこの町とグランエスタードという城があるのだが、久し振りに王様が町に訪れたのだ。度々訪れる王様であったが、その日はお供の兵士に加え、見慣れない男の子が一緒について来ていた。赤色の堅苦しい洋服を着て、髪は綺麗な金髪。彼とパチリと目が合って数秒後、右隣に居る緑色の服と黒髪に帽子を被った兄を見上げ、その後左隣のワンピースに橙色の髪、帽子を被った美人なマリベルを見上げ、頭を抱えた。




なんでドラクエーー!?

え、な、ええええ!?だだだだ、だって、え?あれー!?
まだ兄もマリベルも小さくて気付かなかったけれど、道理で見たことあると思っ…、いやいやいや待て待て待て。私はしがない村人Cじゃん?ようこそ○○へ!とか、此処は○○よとか言う為に村の入口付近に立ってる村人Cじゃん?
よし、目はあったけど気のせいだ気のせい。隣の兄こと主人公を見たんだ絶対。
視線を少し外して眺めていると、王子さまが王様と軽く話した後にコッチに向かって歩いてきた。

「なあなあ!お前らこの町の奴?」
「そうよ。あんたが王子さま?」
「ああ。俺はキーファ!」
「ふぅん、わたしはマリベル。コッチがユウキで、コッチがその妹のユキよ。」

マリベルさぁぁぁぁん!?あれ、今名乗った?私の名前まで名乗った?
兄さんも嬉しそうにしてぺこりと頭を下げない!

「ユウキ、ユキ、マリベルな。よろしく!」

「ま、よろしくしてあげても良いわよ。」

マリベルさんのツンぶりは素晴らしいな。だって相手は王子さまだよ?国のトップの息子。そんな人に対してこの態度なんて子供でもなかなか出来ないと思う。

「ユキ。」
「…?」

屈んで顔をわざわざ顔を覗き込んでくるキーファに首を傾げる。な、なんですか。

「これやるよ!」
「なあに?」

舌足らずな口調で尋ねるとキーファはニカッと笑って私の頭を撫でた。

「この間探検した森で拾った石なんだ。キラキラしててきれいだろ?」
「うん。」

確かに綺麗だ。直径三センチほどあるソレはきっと宝石の原石。それに金具がつけられていて、紐が通して首から掛けれるようになっている。

「だから結婚しよーぜ!」
「は…」

思わず息を止めて顔をあげた。周りの人も話すのを止めて私たちに注目している。

「…」
「…な、何言ってんのよアンタ!?ダメに決まってんでしょう!ユキはねぇ、かわいいかわいい私の妹なんだから、アンタなんかにあげないわよ!」
「いいだろ、ゆーぼーかぶだぜ俺!」
「絶対ダメー!!」

いや、マリベルの妹じゃないよ。そしてキーファは有望株が言えてない。平仮名だ。
マリベルのお陰で周りの人達もガヤガヤと雑談をし始め、緊迫した空気が緩和。それにホッと息を吐くと、王さまは笑っていてお父さんは泣いていた。
なんだこれ。
未だに口論をしているマリベルとキーファを視界から外して海を眺めることにした。…現実逃避だ。




────
(婚約はいつにすっか。)
(誰がお前にやるかぁぁ!!)
((コクコク))
((つーかアンタらまだ五歳児前後でしょう…))






ドラクエ7。猛烈にやりたくなって3DSで買ったんだけど、キーファが途中離脱するのがショックで堪らない。PSもやったので此処だけ内容覚えてた。なので、キーファを唆しておこうと思って書いてみた。
主人公は転生2度目のベテラン(笑)前々世は現世の一般人、前世は相変わらず忍者。レベル1なのにその他パラメーターはMaxの強者。