目が眩む黄色

ここは天空闘技場。ゴンが怪我をしてから1週間が経った。念の修行も出来ず、暇を持て余していた俺は部屋でテレビを見ていた。リモコンを片手にチャンネルを変える。めぼしいものもやってなくて、結局試合の中継に落ち着く。
「あー…、暇。」
ベッドに寝転がり、天井を眺める。ふいにテレビから聞こえてきた声に視線を移した。

『さあ注目の一戦です!ここまでその巨体を駆使して全勝で勝ち上がって参りましたヴィリー選手!対するユキ選手、この小さな身体に秘められたパワーは未知!ここまでの戦績は10勝3敗!うち3敗は不戦敗、参加した試合は全勝です!!』

試合は一瞬だった。結果は、ユキと呼ばれた選手の勝利で終わった。
テレビを消して部屋を出る。ほんの少しの好奇心。
エレベーターを降りて行くと、途中で小柄なガキが乗ってきた。あれ、コイツ…目的の奴じゃん。ラッキー。蛍光色の黄色のパーカーを着ていて、フードを被り顔が見えない。目がチカチカする。

「…ねぇアンタ、さっき戦ってた人でしょ?」
「え?」

弾けたように顔をあげるコイツ。思ったよりも声が高い。目でけぇな。

「あ、キルアくんだ。」
「俺のこと知ってんの?」
「うん。私ここ長いんだー。期待の新人!て騒がれてたよ。」

少し気恥ずかしくなって顔を伏せる。

「キルアくん、今からご飯行くんだけど一緒に行かない?」

あんまり知り合い居なくてさー、でもたまに人と食べたくなるんだよね。と言って笑う。…変なやつ。こんな派手なパーカー着た奴なんだから結構目につく筈なのに、今まで見たことないし。

「…いいけど。」
「ホント?やった!」

笑った顔可愛い…って何言ってんだ俺!
すると突然服を脱ぎ出したコイツに、柄にもなく焦る。

「ばっ、何してんだよ!?って…」
「え?あ、ごめん。普段はパーカー裏返して着てるんだよね。リバーシブルなの。」
蛍光色はあっという間に黒のパーカーに。だから見かけなかったのか、というよりも…

「…女、だったのか…。」
「?うん。」
「…背ェ低いしな。」
「ガーン!ち、ちっちゃくないもん!!」

ガーンなんて口でいう奴初めて見た。ぷっ、変なやつ。頭をぐしゃぐしゃと混ぜてやる。

「うぎゃあっ!」
「ぷっ。もっと女らしい声出せよ。」
「うっさい!キャーなんて声が出る女はなかなかいないよ!!」

変なやつ、だけどもっとコイツを知りたくなった。そっと手をとって、止まったエレベーターから抜け出した。



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ユキちゃんは金稼ぎの為にいるので、200階には行かない。結構強い。