ノリって大事

「ねーボッスン、スイッチくんて眼鏡取るとマジでイケメンだよね。」
「なんなのお前。いきなり来てなんなの。」
「いやー、私眼鏡には萌えない人種なんだけどさー、スイッチくんの素顔はどストライなんだよね。」
「もーなんなのお前!俺を泣かせに来たのかよ!?」

突然部室に飛び込んできたコイツは隣のクラスの吉田ユキだ。一年の頃から何故かは知らねーけど、俺はコイツが好きだ。…ホントなんで!?

「え?おかしーな。ヒメコちゃんがボッスンは今日1日1人で暇してるって言ってたから遊びに来たのに。」

ヒメコォォォォ!?!?何してくれてんの!?イヤ、二人きりは嬉しいけど。けど、切ねぇぇぇぇ!!!何が悲しくて好きな奴の惚け話聞かなきゃなんねーんだよ!!

「お前さぁ…スイッチのこと好きなわけ?」
「?うん。面白いよね。イケメンだし。」

マ…マジでかぁぁぁああ!?!?え、何コレ失恋!?顔!?やっぱり顔なのか!?

「じゃ、じゃーアレか。告白したいから手伝えっつーことかよ。」
「何で泣いてんの?」

うるせぇぇぇ!!!ほっとけ!!
お前の告白なんかトコトン邪魔してやっからなぁぁぁぁ!!

「てかさ、何で私が告白すんの?」
「はぁ?何でって…好きなんだろ?」
「あ、あーあー。好きってそういう好きじゃないよー。」
「は?はぁ?!え?何、違えの!?」
「うん、大体私今は好きな人居ないし。」
「そ、そうなのか?」
「スイッチくんとか顔どストライクだけど、それだけっていうかさー。何かキッカケがないと次には進めないかなー。」
「ふーん…。」

キッカケか…。アレだろ、ヤンキーが子犬拾ってるところを見るとか、普段は弱そうにウジウジしてんのに実はめちゃくちゃ柔道が強いとか。ギャップ!!!うーん、ギャップか…。
無理だ!!俺には無理!!
イヤ待てよ。そもそも友達と認識されてたら先に進まないんじゃねーか?つーことはコイツに意識させれば良いわけだ。意識?どーやって?
男を見せつけてみるか?…お、襲う?無理だろ無理ー!!!一瞬にして嫌われる!ヒメコにも殺されちまう!!
壁に追い詰めてキ、キスしてみる?いや、確かにやってみたいシチュエーションだけど!コレも一瞬にして嫌われる!ヒメコにも殺される!!
もっとシンプルに…

「ねー、さっきから何百面相してんの?面白かったからムービーで撮ってたけど飽きた。」
「何撮ってんだよ!!」
「ボッスンの顔。」
「いや、そういうことじゃなくてだなぁ!」

がしがしと頭を掻く。あー、どうすれば伝わるんだ。

「…ウチのクラスの三上さんとA組の笹山くんが付き合い初めたんだってー。」
「誰だよソレ!」
「えー知らない?ちょー可愛い子だよ。」
「わっかんねーなぁ。」

俺にはお前のほうが可愛く見えるんだからよ。

「いーなー彼氏とか。」
「何お前、彼氏欲しい訳?」
「んー、まぁねー。」
「……じゃあ俺と付き合ってみる?」

何言ってんだ俺ェェェェ!!!思わず頭を抱える。ムードもくそも無ぇ!!笑って流されてもしゃーねーぞコレは!

「んー、それも良いかもね。」
「え。」
「え?」
「イヤイヤイヤ、マジで?マジで良いの?」
「え?うん。てかなんでそんなにテンパってんの?顔面白くなっちゃってるよ。」
「そ、そんなん好きだからに決まってんじゃねーか!!………あ。」
「…」
「いや、あのさ…」
「…」

なんか顔真っ赤なんだけど。か、可愛えぇぇぇ!!何コノ可愛い子!!頭撫でたい!つーか…、抱き締めてぇ。

「わっ!」
「…」
「ボ、ボッスン?」
「…可愛過ぎんだろ。」
「え…」

ぎゅっと抱き締めた体は想像していたよりも小さくて。そっと服の裾を握る仕草さえも愛しい。あー、マジで好きだ。

「……好きだ。絶対離さねぇからな。」


ーーーーーーーーーー
(ボッスン、ヒメコちゃん達来ちゃうよ)
(お、おう、そうだな)
(何で今テンパってんの?)



ボッスン好きです。スイッチの素顔はマジでツボ(笑)鬼姫のヒメコは美人すぎると思う。