ほぼ日課


昼休みの音楽室。週に何度か針谷にギターを教えて貰っていたり、煩い女子から逃げるのによく来る場所となりつつある。
さっきまでユキと二人きりだったが、たった今駆け込んできた針谷が叫んだ。

「おーいユキ!カラオケ行かねえ?」
「コウ。またカラオケ?昨日も行ったよ?」
「…」
「じゃあボーリングでも行くか?」
「んん、其処も一昨日行ったじゃん。」
「…」
「んー、ならゲームセンターは?」
「その前行ったよ。」
「…」
「お前行きたいところねぇのかよ?」
「んー…あ、アナスタシア!なんか新作が出たんだって。」
「お前はまたケーキか。まぁいいか。」
「いえー!決定だね。」

なんだその会話。つーかお前ら毎日どっか行ってんのかよ。なんかムカつく。

「…おい。」
「「ん?」」
「カップルか!!」
「はあ?何言ってんだ佐伯。」
「何?何ってなんだよ!お前らカップル!?」
「はは、違う違う。」
「いやでも…」
「んなことよりチャイム鳴るぞ。教室行こうぜ。」
「ん。」

そう言うと針谷は自然にユキの弁当箱を取り上げ、ユキの手を握った。

「それー!!!」
「うっせーな、なんだよ佐伯!」
「元気だねぇ瑛。」
「なんでお前らそんな普通なんだよ!手!手を見ろ!」
「あ?なんか可笑しいか?」

キーンコーン…

「あ、佐伯がゴチャゴチャ煩えからチャイム鳴っちまったじゃねーか。」
「俺のせい!?いやどう考えても違うだろ。」

ブツブツと呟いているとユキが笑った。そして手を取るもんだから気恥ずかしくなって俯いた。





説明書を見たときから君に決めてました。
一応『珈琲の香りと甘いケーキ』と同主設定。取り敢えずハリーとはカップルになっても問題ないとお互いに思ってるくらいに心友。