誰よりも側にいて

※擦れ設定だけどあまり擦れてない。



「あ?…なんですか10代目。」

今、あ?って言った?仮にも上司に向かってあ?って言った?

「お前なぁ…、はぁーっ。さっき新人のメイドがお前の事文句言いに来たんだけど。仕事しないって。」
「へぇー。」
「何か反論は?」
「特に無いですけど、強いて言うなら皿洗いにどれだけ時間くってんだって事ぐらいですかねぇ。」

そう。新人が皿洗いを終えてから俺にお茶を運びに来て媚びを売り、文句を言っている間に、ユキは城の掃き掃除と拭き掃除、洗濯、庭の水やり、買い物、書類整理etc…の仕事を終え、こうして庭で昼寝をしているのだ。そりゃあ、文句の一つも出てくるだろう。

「ははっ、また駄目かぁー。」
「仕事はとても遅いですけど可愛い子じゃないですか。そんなにメイドさんが欲しいなら雇えばいいのに。」
「俺は別にただメイドか欲しい訳じゃないよ。」

ユキは俺(ボンゴレ)のメイドでは無い。日給で働くバイトだと本人は言いきる。ほぼ毎日いるんだから変わらないと思うけれど。なのでずっと勧誘中なのだ。

彼女は中学からの同級生で、家が近所。ダメツナとしての俺は自分から話しかける事もしなかったし、ユキも興味が無いものにはとても淡白それだけの関係だった。けれど俺がボンゴレの10代目候補となってから数日後、リボーンがニヤリと笑って嫁候補として連れて来たのがユキだった。
表の顔で申し訳無さそうにオドオドしながら話しかけると、憐れみの目で「大変だね…」と言って肩を軽く叩いてきた。それがリボーンに命令された事に対してではないと超直感で分かり、それ以来彼女の前で無理にダメツナになる事はなかった。
後に聞いたら、筋肉の付き方とか身体の動かし方に疑問を持っていたんだそうだ。彼女は、俺がダメを演じていることに気付いていたのだ。ユキと本気で闘った事がないから正確には分からないが、体術だけで言えば彼女に勝てる奴はザンザス達も含め、ボンゴレには居なかった。そんな所が面白いと思ったし、もっと知りたいと思った。

「いい加減ユキも諦めてうちのメイドになっちゃえよ。大体、俺の好みはあんなんじゃないし。」

あんな女全然可愛いと思わない。香水臭いし、化粧は厚塗り。目はパンダのようで、気持ち悪い声で近寄ってくる。そして可愛いと思ってやっているのか知らないが必ず上目遣い。はっきり言って不愉快だ。

「えー。」
「つーかさ。いい加減諦めて、俺の所に永久就職しちゃえよ。」
「えー。」
「……意味分かってんの?」

むくりと起きて俺を見上げてくるユキ。地面に直座りしているコイツは自然と上目遣いで。勿論計算なんだろうが、あの女みたいに不快感を抱かないのは惚れた弱味という事だろうか。

「ユキ分かんなぁい。」
「…なにそれ可愛くないから。全然可愛くないから。」

熱くなる頬を抑えられずに片腕で口元を隠すと、ユキは楽しそうに笑う。いつだってコイツは俺よりも優位な位置にいるんだ。
それが悔しくてユキに近寄り、頭をぐっと引き寄せる。耳元で囁くとピクリと反応するユキに、少しだけ優位に立てた気がしてクスリと笑った。





10年後設定だと擦れてるのかよく分からない仕様になりました。いつも通りユキちゃんは忍。チャクラ等はあるけど死ぬ気の炎は出せない。
因みに、まだ付き合ってるわけじゃない。