※『気付いてしまった』と同主設定。
if花井くんと付き合ってたら。
「…なぁ、此処どうやんの?」
「んー?えーと…こう、だね。」
「あぁなる程な。サンキュ。」
試験前ということで部活が午前で終わった今日。俺と吉田は吉田の家で試験勉強をしている。…二人きりで。
付き合い始めてから結構経つけど、お互い部活が忙しくて未だに手を繋ぐくらいしか出来ていないのが現状で。なので少しは期待…というか企んでいるわけで。
「お前ほんとスゲェな。どれも完璧じゃん。」
「梓ちゃんも出来るようになるよ。」
「いや、ホント生物は無理。」
「はは。」
吉田は本当に凄かった。どの科目もキチンと理解していて教えてくれる。英語だってペラペラだ。
「なー次英語でもいいか?」
「うん、いいよー……あ、そっか。梓ちゃんって英語教師が好きなんだっけ。」
「ぶっっ!!」
”好き”というのはそういう意味ではなくて、そのーあれだ。野球部のメンバーで理想のシチュエーションの話になったときに話した妄想の話だ。だからそんな深い意味は無いんだけど…。
「な、ななな」
「田島くんが教えてくれた。」
アノヤローッッ!!吉田になんつーこと話してんだよ!
「別に深い意味なんか無ぇからな!」
「うんうんオッケー。」
「分かって無ぇだろ…」
思わず額に手を当てて机に顔を伏せる。絶対誤解してるだろ。これはまぁ、男にとっては仕方のないことであってだなー。出来ないからこそ憧れる、というか。けど本当は…
「…俺はお前がいいんだから、さ。」
ポツリと零れた本音を自覚して体温が上がる。今俺絶対顔赤い。くそ、カッコ悪い。
だけど暫くしても吉田から返事がない。不思議に思って視線だけ吉田に向ける。するとそこには顔を赤くし、顔を俯かせた吉田がいて目を見張る。口元は緩んでいて、怒りからくる赤さではないことがうかがえる。
いつも余裕綽々で俺達を見守って。疲れたなんて弱味は絶対見せない奴で。告白したときだって俺ばっかりがいっぱいいっぱいだった。初めて手を繋いだ時だって、俺は手汗やら緊張やらでぎこちなかったのに吉田はそれを見て笑っていて。いつだって優位に居たのに。
「あーくそ、反則だ。」
ぎゅっと目が閉じているのをいいことに右隣に移動する。固く握られた拳に右手を。目が開いて顔をあげて此方を向いた頬に左手を添える。未だに赤い顔。下がった眉。そして…潤んだ瞳。全てが可愛くて、愛しくてそっと顔を近付ける。
「ユキ」
再びぎゅっと目が閉じたのを確認して、そっと唇をあわせる。
「っ…、梓ちゃ…」
「好きだ…」
「んっ」
こんな所を併せるだけで、どうしてこんなに幸せなんだろう。右手を所謂恋人繋ぎにして、左手は離さないとばがりに後頭部へ。吉田を抱き抱えるようにして、触れるだけのキスを繰り返す。
「っふ…」
「…、」
「梓ちゃっ…」
「…ん?どうした?」
唇を少しだけ離し、額を併せる。至近距離で見る吉田の目は今にも涙が零れ落ちそうで。
「…好きっ…」
「!!」
「す…んっっ」
左手を引いて唇に再び噛み付いた。
メガネ+タオルに惚れた。花井くんほどその恰好が似合う子居ない。要所要所で良い子すぎる。結構奥手希望。
何故か最後ユキちゃんが情緒不安定。