一方的な再会

※『君の力に』同主設定。擦鳴注意。




「…あのさぁユキさ…ちゃん。俺のこと覚えてる?昔結構一緒に居たんだけど。」
「……?………初めましてー?」
「あっれぇぇ!?ユキさぁぁぁあん!?」

アカデミーを卒業し、班分けがされた。そこで担当となった畑カカシ。情報の無い自己紹介も終わり、明日の演習の話も終わり解散、となった時に恐る恐るカカシが尋ねると、首を傾げながらユキは呟いた。

ジジイに聞いた話では、ユキが暗部の総隊長だった頃よく一緒に組んでいた(というかカカシが心酔してついて行ってた)らしく気心知れた仲、ということだったのだが。
ジジイの言うことはあてにならねぇなと、思わず半目でカカシを見ていると、切羽詰まったような声で念話がとんできた。

『ちょ、ちょちょナルト!!どういう事!?ユキさんの反応がさっぱりなんだけど!』
『知るか』
『ナルト冷たい!ユキさん!演技ですよねコレ!そうですよね!?』
「…」
『…(絶対ユキ聞いてねぇな)』
『ユキさぁぁぁあん!!?(泣)』

「ユキ、カカシ先生と知り合いなの?」
「?」
「いや、なにその”そうなの?”っていう心底不思議そうな顔。私は知らないわよ。」

暫くぼんやりしていたユキが、のんびりと手をポンと叩いた。

「もしかしてお菊ちゃん?」

どっからきた?お菊ちゃん。

「どっからきたんだよ、そのお菊ちゃんは。」

げっ、サスケと被った。

「ちょっとユキ、畑カカシだって先生自己紹介したじゃない。」
「…?初めましてー。」
「振り出しに戻ったってば…。」

首を傾げてからぺこりと頭を下げたユキに、演技も半分忘れてぽつりと呟いた。

「色々なところに行ったり、団子食べに行ったり…あんなに一緒に居たのに…!」

地面に膝をついてうなだれるカカシにユキは反応せずに街の方に顔を向けている。…団子食べたいとか考えてそうだ。

「ナルト…」
「なんだってば?」
「お腹すいた」

ぐーぐーと律儀に鳴るユキの腹。任務の時は一切鳴らないんだから、コイツ自由に腹鳴らせるんじゃねぇだろうな。

「そういえばそうだってば…一楽にラーメン食べに行くかぁ!」
「うん、お団子も買ってね。」
「え、ちょっとナルト!先生
まだ解散なんて言ってないわよ!」
「えー、でもさーでもさー、説明も終わったんだしいいんじゃねーの?」
「そ、そうかもしれないけど」
「それに、カカシ先生は行く気満々だってば。」
「え。」

「おーいナルトー、置いてっちゃうよー」

数メートル先に居るカカシはユキの肩に手を回し、俺に声を掛けた。サクラは目を丸くして、サスケは眉間の皺を増やした。心の声が聞こえてきそうだ。
え、なんでそんな所に。ユキ捕まってない?カカシ先生って覆面してて怪しいし、やっぱロリコ…

「今行くってば!じゃあサクラちゃんまた明日な!」
「え、ええ…」

カカシにテメェの奢りな、と念話で脅…おねだりして表の顔で人懐っこい笑みを浮かべた。カカシの顔が引きつったような気がしたが、気にせずユキの手を捕って団子屋へと走り出した。