色付く思い出

※主人公不在注意。



Q.三井くんのスリーって凄く綺麗ですよね。姿勢っていうか形っていうか。
A.ははっ、そうですか?嬉しいです。
Q.もしかして、誰かを参考にしていたりするんですか?
A.えっと…勿論プロ選手の方々を参考にしたりはしてるんですが、僕には目指している人が居るんです。
Q.え!?そうなんですか?
A.はい。まだバスケを始めて間もない頃なんですけどね。小さな身体を目一杯使って投げられたボールは、まるで羽が生えたかのようで。その時の知識に乏しい自分でも『ああ、これは入るな』って確信出来るくらいだったんです。無駄な力の入ってない、それでいて一直線にゴールへと入っていく様は、まさしく理想的で絶対的なフォームだったんですよ。
Q.へえ…、それは大変興味深いですね。







「リョーちん!見てみろよコレ!」
「花道、なんだソレ…って!中学時代の三井さんじゃねーか!!」
「プププ!この髪型!」
「何々?”MVPプレーヤー武石中三年 三井寿にインタビュー”?ぶわははは!」

その雑誌は三井が中学生時代に特集を組まれたもので、今から2年以上前の物だ。ロッカーの奥深くから出てきたその古ぼけた雑誌を、花道が腹を抱えながら持ってきたのだった。それをリョータと見ていると、その特集されている本人である三井が怪訝そうな顔をして、マネージャーの彩子は不思議そうな顔をしてやってきた。

「あ?お前ら何騒いでんだ?」
「リョータなあにソレ。」
「彩ちゃん!中学時代の三井さんのインタビューが載ってるんだよ。」
「へえ!見せて見せて!」
「げっ!なんでそんなもんが此処にあるんだよ!?」
「何々?”三井くんのスリーって綺麗ですよね…”」

花道に詰め寄る三井。そしてそのバカでかい図体をした二人を押しのけ、雑誌を音読し始める彩子。そしてその文章を読んだ所で、彩子は目を見開いて三井に詰め寄った。

「え!三井先輩、この話本当ですか?」
「ほうほう。」
「嘘ついてどうすんだよ。つっても、まだガキの頃の話だぞ。」
「だとしても、三井先輩が理想とするスリーを打つ子なんて気になるに決まってるじゃないですか!」
「つってもなー、名前しか知らねえからな。」
「え!?」
「どこの誰かも知らねーし、そもそもそのシュートを見たのもその偶然の一度だけだからよ。顔もあんま覚えてねー。」
「そ、そんなー残念…。」

目に見えてガックリと肩を落とした彩子に、リョータが慰めに入る。しかし即座に切り替えて新たな話題を花道へと振った。

「そういえば花道。一年生に転校生が来たらしいじゃない。」
「え?そうなんすか?」
「知らないの?まったく。流川…は知るわけないわよね。」
「うす。」
「役に立たない一年コンビね!」

近くに居た流川も当然知るはずもなく、それに頭を抱えた彩子。花道は流川とひとまとめにされた事で流川を睨み付け、流川もまた睨み返した。

「彩ちゃん、その子に何か用事なの?」
「クラスの男子達がこぞって可愛いだの儚げだの言ってたから気になって。」
「ああ、そういえば。でも安心してよ彩ちゃん!俺は彩ちゃん一筋だから!」
「で、あわよくばバスケ部のマネージャーになってくれないかなー、なんて考えてるワケよ。」
「彩子さんマネ業大変なんすか?だったら是非春子さんを…!」
「春子ちゃんも偶に手伝ってくれて助かってるんだけど、やっぱり正式な部員としてもう一人くらい欲しいのよねー。」
「なあ、そいつ名前は?」

今まで静かに雑誌を眺めていた三井が、ペラリとページを捲って顔をあげた。

「珍しいですね。三井さんがそういうの気にするって。」
「あ?あー、なんとなくだよなんとなく。」
「ミッチーはムッツリだからな!」
「ちっげーよ!!」
「確か…



吉田ユキちゃん、だったかしら。」


「っ」
「ん?どうしたんだミッチー。」

小さく息を飲み、目を見開いて動きを止めた三井に、三人が視線を向ける。

「三井さん…」
「三井先輩、もしかして…」
「ん?なんだ?どうしたんだリョーちん!?彩子さん!?」

高鳴る鼓動にギュッと拳を握り締め、三井は静かに雑誌に視線を落とした。






主人公全く出てこなくてスミマセン。プロローグ的な感じ。

転生勘違い主。基本無口で、皆全て良い方に勘違いしてくれる。但し頭の中はうるさい。運動、勉強は上の中くらい。バスケは授業でやったくらい。それ以外もまあ大体出来る。ミッチーの事以外にも、不良から特別な目で存在とか色々な武勇伝を持ってるらしい。