ナルへの手紙

 鳴海Side

僕は今、試験が無事終わり採点をしている所だ。僕の国語の試験の問題は
『僕(鳴海先生)に対しての愛の手紙を書きなさい。
条件
・前期授業でならった漢字を5つ入れること
・150字以上200字以内でまとめること
・擬人法、倒置法、接続語、体言止めのうち、どれか3つを使用すること 』。
蜜柑ちゃんのは読んでいて微笑ましかった。文法はあんまり使ってなかったけれど。棗くんは思った通り白紙で苦笑して。点数とアドバイスを二言三言書いて最後の答案用紙に移った。

「(…ユキ先輩のだ。)」

最後に回した先輩の答案用紙。試験だって分かってるけれど、これは”ラブレター”だ。先輩は面白がって大袈裟に言う事や誤魔化す事はあっても、基本嘘はつかない。
だからこれは僕にとっては結構死活問題で。場合によっては後に何も出来なくなる自信が有ったので最後に回したのだ。
…嫌われてはいないと思うけど、……お節介とか書いてあったら凹む…。逆に柚香先輩とのこと応援してるよ!なんて書かれても凹む。
そんな事をツラツラと考えながら一度深呼吸をして、解答を読み始めた。







ーーーー

 岬Side

コーヒーを二つ持ち、鳴海に近付く。だってさっきから俯いたまま動きを見せない。たぶん、一時間はあの状態なんじゃないか。

「鳴海、お疲れ。」

そっとカップを鳴海の机の上に置くがピクリともしない。恐る恐る覗き込んでみると、一枚の答案用紙を発見。そんなに悩むようなことが書いてあったんだろうか。気になったので隣に積んであった問題を読む事に。

「あ?」

これは…。
鳴海が彼女を特別視しているのは誰が見ても一目瞭然。…それはもちろん鳴海だけじゃないけれど。コイツにとってはこの解答が彼女の本音を知るまたとない機会なわけだ。
そのまま放っておいてもいいのだが、もうすぐ会議が始まる時間だ。鳴海の意識を覚醒させることにした。

「鳴海、鳴海」

肩をトントンと叩きながら呼び掛ける。ハッと意識を覚醒させた鳴海は俺に視線を移して狼狽えた。

「え、あ、岬先生?」
「大丈夫か?もうすぐ会議始まるぞ。」
「あ、あぁ。ゴメン。」

顔を赤らめながら視線を泳がす。一体どんな事が書いてあったんだ。少し嫉妬しながら窺う。

「どんな事が書いてあったんだ?」
「え?あ、うーん…。」
「…」
「ねぇ岬先生、なんで僕こうなったんだっけ?」
「は?」
「ユキ先輩…昔の僕のことべた褒めなんだよ…!」
「へぇ…」
「嬉しいような悲しいような、複雑な気分なの!」
「はぁ。」
「なんか”僕”を否定された感じで…」

でもべた褒めなんだよー!!と机に顔を伏せて足をばたつかせる。俺の目は相当冷めてるんじゃないだろうか。完全な嫉妬だ。あー、俺もそういう試験にすれば良かっ…無理か。

「…そりゃ否定したくもなるだろうよ。」

あの頃のコイツと今のコイツ。イコールで結べる奴はいないと思う。それくらいあの頃はひねくれてた。丸くなったと言えば聞こえは良いが、その分本音を隠すのも上手くなったと思う。

「あー、どうしよう。俺って言ったほうがいいのかな。」

それでもユキさんの事だとくだらないことでも本気で悩むコイツを見ると、やっぱりユキさんは凄いと再認識させられるんだ。









鈴様リクエストありがとうございました!
昔のナルは格好良すぎると思います。ツンデレ好きです。ナルメインのはずが、岬先生出しゃばりました。如何でしたでしょうか。
ありがとうございました!
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