彼に拉致された

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目が覚めたら宇宙でした。
…なんで?

「あ、起きた?」
「は、」
「あと10数えて起きなかったらそのまま寝ててもらうつもりだったのに。」

よく起きた私ィィィイイ!!起きれなくなるところだったよ!永遠の眠りにつかされちゃう所だったよ!!
いつもより早めに仕事が終わり、折角だしケーキでも買おうかなと街を歩いていた時だ。ニコニコと笑ってやあ、と片手を挙げた彼が前から歩いているのを見てからの記憶がない。首の後ろが痛いのは何故だ。

「あーお腹空いた。早く食べようよ。」

何を!?何の話!?誰かァァァア!!話の通じる人!!阿伏兎さァァァアん!!

「阿伏兎ならいないよ?どっかで会議とか言ってた。」

読まれた!?やっべ、これ死んだわ。つーか今なんて言ったこの笑顔が素敵なお兄さん。阿伏兎さんがいないって?この船で唯一話を聞いてくれそうな人が!?(恐らく)常識人の人が!?
ふと周りを見渡すと誰かの部屋である事に気が付いた。いや、誰かなんて言っていられない。だって今さっきまで私が寝かされていたベッドに、神威さんも何気なく座ってるし。此処、神威さんの部屋じゃね?…やっべ、死んだ。これ死んだわ。

「さっきから何ぼんやりしてんの?早くコッチおいでよ。」
「あ、はい。」

取り敢えず逆らうのは危険だ。神威さんに近付くと其処にあったのは豪華な食事とシャンパン。七面鳥にフライドチキン、パスタにケーキなど様々な料理が大きな机一杯に並べられていた。

「今日、地球ではクリスマスって言うんだろ?」
「はい。」

私が気絶してから日を跨いでいないなら、ですが。

「クリスマスはご馳走食べてケーキ食べる日なんだろ?」

間違ってはいないけど…、いないけど〜。なんか違う、とは言えないですけどね。

「それに男女で過ごす日って聞いたんだよネ。だからキミを連れてきたんだ。」

ニコニコしながら言ってるし、怖いから言えないけど、それ犯罪だからね?誘拐という名の犯罪だからね?…でも美味しそうだな。
神威さんがシャンパンをコポコポとワイングラスについで、はい、と手渡してくれた。

「早速食べようヨ。何か合図とかあるのかい?」
「え?えーと、メリークリスマス?」
「ふーん?じゃあ、メリークリスマス。」

変な合図ー。ケラケラと笑いながら、なんか意味があるの?とか聞いてくるから、クリスマスの無駄な豆知識を披露する事になった。
ガツガツと食べ始めたご機嫌な神威さんを見て、私も少し肩の力を抜いた。
取り敢えず早く阿伏兎さんが帰って来ますように!!

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