総悟くんを誘う

「あ、沖田さん。」
「こ、こここここんにちは!」
「こんにちは、見回りお疲れ様です。」
「あ、ありがとうございやす!」

丁度通りかかった総悟くんを発見。折角だし誘ってみようかな。

「あの、コレ…」
「?…遊園地のチケット?」
「さっき大将に戴いたんですけど、良かったら一緒に行きませんか?」
「……」
「日にちがあんまりなくて急なんですけど…」
「……」
「…沖田さん?」
「…え?あ、は、ははははいっ!」
「あ、あの。お仕事で忙し…」
「だ、大丈夫です!!」

おおう。突然大きな声を出した総悟くんにビックリ。顔が真っ赤だよ。

「い、行かせてくだせぇっ!!ユキさんが、俺なんかで良いなら、ですけど…。」

徐々に声が小さくなって、語尾は殆ど聞こえなかった。けれどその真っ赤な顔が、自信無さそうな態度が可愛くて、思わず口元が緩む。

「やだな沖田さん、私から誘ってるんですから。寧ろ私なんかで良いなら、ですけどね。」
「〜!!お、俺はユキさんがいいんでさァ!是非一緒に行かせて下せぇ。」
「はは、何だか勿体無いお言葉ですけど…。宜しくお願いします。」
「お、俺のほうこそ宜しくお願いしますっ…!!」


────

 当日─…

幼い感じに施した化粧で、今の私はいつもよりも少し若い。気分が。
まぁ、総悟くんて18だっけ?やっぱり並んでいておかしくないようにしたかったから、服装も少し若作りをしてみた。ミニ丈の着物。
フリルのあしらわれたソレはどう考えてもティーンエイジャーが着るような服装だけど、私だってたまには脚を出したい。あ、露出狂とかではなくて。今まで仕事着でも普段でも膝丈以上のスカートは常といってもいいくらいに頻繁にはいていたので、踝まである着物は違和感なのだ。
フリルのついたニーハイのソックスをあわせて髪を巻き、下の方で二つ結びにする。少し毛を逆立ててボリュームを出して。

時間十分前に待ち合わせ場所に行くと、既に総悟くんは来ていた。早いな、流石。
彼の隣には女の子2人組がいて、上目遣いで総悟くんに話し掛けていた。遠目に少し観察してみると、総悟くんは顔色一つ変えずに(声は聞こえないけれど)淡々と返事をしているみたいだった。

「ねぇーっ、私達とどっか行こうよぉ!」
「そうだよぉ、もう三十分以上待ってるじゃん!そんな彼女放っておいてさぁ!」
「だから行かねーつってんだろィ。勘弁してくだせェ。そろそろか、彼女が来るんでィ。」
「”か、彼女”だって!やぁだ、可愛いぃっ!」
「…アンタ達なんで俺に声をかけてきたんでさァ。」
「えぇ?だってイケメンだしぃ。」
「お洒落だしね?」

ん?総悟くんが小さくガッツポーズした。なんだろ?でも流石にそろそろ行こうかな。時間になっちゃうし。

「よし、俺の格好可笑しくねぇんだな?」
「え?うん!格好良いよ!」
「だからぁ…」
「あっ!」
「え?」

あ、こっち向いた。さ、三人とも。視線が痛いです。お姉さん辛いよ。

「沖田さん、スイマセン遅れちゃいました?」
「い、いいえ!まだ時間前でさァ!それに俺が早く来すぎちまっただけなんで。」
「あの、彼女達は…」
「あ、え、えっと…」
「あのー。」
「な、なによぉ…」

少し涙目で険しい顔をしている彼女達を見て眉を下げて笑う。

「先約は私なのでスイマセン。」
「!(せ、先約っ…!)」
「行きましょう?」
「う、は、はいっ!!」

彼女達に背を向けて歩き始めた私達は、私達を見た彼女達が何を思っていたのか知る由もない。

「あんなに真っ赤になって…」
「勝てるわけないじゃない…」
「「…はぁ」」

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