ティーカップでダウンする
恐怖の食事を終えてから食休みした後に目に映ったのはティーカップ。
「次アレでも乗ります?」
「お前が乗りたいならいいが…、食後にはきつくねーか?」
「うーん、大丈夫じゃないですか?それなりに時間も経ってますし。」
「じゃあ行くか。」
「はい。」
と言った数分前。今はそんな過去の自分が恨めしい。無理だよ、無理に決まってんじゃん。私グルグルするやつ苦手じゃん。
うえ、気持ち悪い…。
「ほら見ろ。言ったとおりじゃねーか。」
「スミマセン…」
うう、面目ない。でも大丈夫かと思ったんだもん。ベンチに座ってうなだれていたが、不意に視界の端に何かが映り、目を向ける。
「ほらよ。」
「え?」
「お茶。それでも飲みながら少し休憩な。」
「あ、ありがとうございます…。」
紙コップに蓋がされ、ストローの刺さったソレ。どうやらわざわざ買ってきてくれたらしい。
冷たいお茶が喉を通ると嫌な気分が少し和らいだ気がした。私の様子を見てから土方さんは隣にドカリと座り、一緒に買ってきたらしい飲み物に口を付けた。土方さんとストローが似合わなくて思わず凝視してしまう。
「…なんだ?」
「あ、いえ…。あの、私の事は置いておいて、何か乗ってきてもらっても構いませんよ?」
「いーんだよ、俺も少し疲れたから。」
それは嘘だろう。だって彼が遊園地で疲れるとは思えないし。いや、慣れない場所ではあるだろうけど。さっき休んだばかりだったわけだし。
「それに…」
「え?」
「一緒じゃねーと意味ねーだろうが。」
…
……
………
まあ、確かにそうだよね。折角一緒に来たんだし。一人で並んで乗るのって気まずいもんね。何名様ですか?って聞かれたときに前の人とか後ろの人とかと纏められそうになった時とか。一人で来てんの?って思われるもんね。
「はい。」
「おう。」
気分も良くなって来たのでもう一口お茶を飲んでから立ち上がる。
「じゃあ次、一緒に行きましょう?」
「もういいのか?」
「はい、大分良くなったんで。あ、でもやっぱり少し不安なんで、次は乗り物じゃなくて、ゆっくりと歩いて入れる所行きましょう。」
「……歩いて入れる所?」
遊園地で歩いて入れるなんて所は限られてる。というか殆ど無い。
「…『アイスワールド』か。」
「え?それでもいいですけど、それ場所正反対ですよ。ほら、すぐ其処に…」
「あ、ああああ、あのよぉ、もう少し休んで行こうぜ?ほら、あれだ。まだ飲み終わってねーし!」
「え?あ、はい。」
どうやろ張り切ってしまったようだ。うん、もう少しゆっくりしてから行こう。まだまだ時間はあるのだから。
『アイスワールド』ってメジャーなものなんでしょうか?私は一カ所でしか見たことがありません。取り敢えず知らないという方に補足です。
簡単に言うとマイナス30℃の世界が体験できるというものです。私がコレに入ったのは小さい頃なものでただ涼しかった、くらいにしか覚えていないんですけれど。調べてみたら現存しているところもあるみたいです。top