さんぽする


総悟くんとの昼寝を終えて、私は屯所の中を見物する事にした。広いなー。今日一日じゃ廻りきれないだろうな。すると、前から隊員のひとが二人ワラワラとやってきたので、踏まれないように端に寄って通り過ぎるのを待つことにした。でっけー。踏まれたら一溜まりもないわ。

「あっ!ザキさん見て下さいよ!」
「え?何?」
「猫ですよ猫!」
「あれ?ホントだ。迷い込んじゃったのかな。」
「可愛いっすねー!」
「綺麗だし、何処かの飼い猫だろうね。」

山崎さんだった。隊員Q、Rだと思っててごめんね?

「なんか今バカにされた気がするんだけど。」
「何言ってんすかー?」
「いやだって、」
「あっ!ザキさん!ドラマ始まっちゃいますよ!!」
「え?あ、ホントだ!」
「じゃー、バイバイっすよー。」

バタバタと駆け出す二人。仕事しろよ。

再び歩き出すと、風に乗って煙草の臭いがして、思わず眉間に皺を寄せる。真選組のヘビースモーカーなんてあの人しか知らない。あ、この部屋だ。

前足を器用に使って障子を開け、中の様子を窺うと誰も居ないようだった。顔を突っ込んで中に入る。煙草くさっ。ぶしっ、ぐしぐし。くしゃみ出ちゃったよー。なんか書類が積んである。
この部屋に来た理由としては、戸棚にマヨネーズがホントにあるのか知りたかったから。部屋を見渡してめぼしい所を探す。取り合えずば届く所から開けてみようと襖に近付いた時、突然障子が開いた。思わず肩が跳ね、前足を挙げたまま固まる。

「んぁ?何でこんな所に猫がいんだ?」

ひ、土方さん来たァァ!

「何してやがる?おら、こっち来い。」

け、蹴られたりしないよね…?大丈夫だよね?

「…可愛いな。」

うりうりと頭を撫でられる。ちょ、髪型が崩れるでしょうが!…髪もクソもなかった。
取り敢えず棚が気になるのでにゃーにゃー鳴いておく。開けてくれよー。

「お前…その棚に興味あんのか?」

うん、そう!ワクワク。

「しょーがねーな。一本だけだぞ。」

そう言って土方さんは私を抱き上げて、戸棚を開けた。うーわっ。マジであったよ。マヨネーズ…。この内のどれかはカスタードや辛子入りなんだろうか。総悟くん、私もやりたいです!
…てか、え?口元にマヨが近付いてくるんだけど。

「ん?おら、口開けろ。お前もマヨ好きとはやるな。」

ちーがーうー!猫にマヨなんかやるな!!別に欲しかった訳じゃないし!
ちょ、やめろやァァァァ!!
必死に暴れて土方さんから逃げ出す。開けっぱなしの入り口に行き、後ろを振り向かずに部屋を出た。


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(バイバーイ)



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