たべる


真選組の屯所を抜け出し、再び街を散策する。
にゃんにゃんにゃにゃーん、にゃんにゃんにゃにゃーん、なーいてばかりいる子ネコちゃんー。イヌのーおまわりさ…バクッ
…食われた!何かに首の後ろを掴まれた。宙ぶらりんの状態だ。

「おーい、定春。何食ってんだソレ?」

定春?これ定春?ぎ、銀さーん!助けてェェ!!

「おーい定春ー、そんなもん食ったら腹壊すぞぉ。今すぐペッしなさい。」
「…」
「ほーらほら、ゆっくり放せー。」

銀さんが私の体を支えてくれる。ほっ。これで落ちることはなさそうだ。ゆっくり口が開かれ、首が放される。定春は私が銀さんに抱かれたのを確認すると、そのまま公園へと走って行ってしまった。銀さんは頭をガシガシと掻いて、私を一瞥した後そのまま定春の後を追って歩き始めた。

銀さんは公園のベンチに座り、定春を眺める。私も銀さんの隣に座って定春を眺める。一匹ではしゃいでるのかと思えば、よっちゃんらしき悪ガキどもと戯れたりして、定春は楽しそうだ。
ふと横を見ると、何処から取り出したのか、銀さんはパックのイチゴ牛乳を飲んでいた。へー、ホントに好きなんだなー。

じーっと見ていたのが気になったのか、銀さんはこっちをジッと見てきた。私は私で、こんなに銀さんの顔を見る機会は今後訪れないよね!という感じにジッと見ていた。すると銀さんは何を思ったのか手を器にして、そこにイチゴ牛乳注ぐ。その手を私に差し出してきた。
その手と銀さんの顔を見比べる。…飲めってこと?銀さんといい土方さんといい、猫の体のことを考えてほしい。いやでも、土方さんよりはましかな。マヨネーズは啜る物ではない。イチゴ牛乳は砂糖とイチゴが入っているけど、まだ牛乳だからな…。実際は牛乳って猫には良くないらしいけど。

ぐー…
そういえばお腹空いたかも。朝から何にも食べてないや。



匂いを嗅いでペロッと舐めてみる。久しぶりに飲んだけど美味しいな。飲み切って、口の周りをペロリと舐める。その後手を舐めながら銀さんの顔を見ると、なんだか嬉しそうだ。

「おーおー、お前にもイチゴ牛乳の良さが分かるのかぁ?美味いよなー。」

ニヤリと笑って頭をグシャグシャと撫でてくる。ちょ、髪型が…、関係ないんだった。銀さんは空になったパックをゴミ箱に投げ入れ、立ち上がった。

「定春ー。そろそろ帰るぞー。」

定春は大きな目でこっちを見て、軽やかに歩いてくる。

「うし、けーるか。」
「ワンッ」

またね銀さん、定春。バイバー…バクッ
…あれ?
あれェェェェ!?


たべる…いや、たべられる
ーーーーーーーーーー
(定春くぅぅぅん!?)
((ぎ、銀さーん!))



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