眩しい未来

無事蜜柑のランプを手にした棗ちゃんは、蜜柑をパシリとして引きずり回すことにしたらしい。そして、私は何故か棗に手を握られて連行されている。まぁ、ボチボチ見て回る予定だったのでそのままついていくことにした。そして、技術系エリアを見終えたところで、蜜柑が言った。

「なあ、みんなっ。将来何になるかとかもう決めてる?」

将来か…。過去に居たときは自分のアリスを知ってから、いつかこの時代に飛ぶことが分かってた。でも、この先は?このままこの世界で過ごすのか、また世界を飛ぶのか…。

「ルカぴょんてトリプルやったんっっ!?知らんかったーっっ!」

蜜柑の声で我にかえる。

「えー、何でゆってくれんかったんー!?」
「…え。…俺のは、今井達みたいに実力でってわけじゃないし…」

なんとなく、ポンッとルカの頭に手を置く。弾けたように顔をあげ、私を見てくる。

「私もトリプルだよー。おそろ。」
「えぇー!?知らんかった!!なんでなん!?ユキアリス使えへんのやろ?」
「授業はキチンと(影分身だけど)出てるし。あとは…まぁ、頭の違いって奴だろうね。」

可哀想なものを見る目で蜜柑を見る。

「むきーっっ!!なんやその顔ー!!」

がしっと棗ちゃんが蜜柑の頭を掴む。

「おい、ハラへった。行くぞルカ、ユキ。」

そのまま、棗の後に続いて歩き出した。


−−−−

その後、アンナちゃんの店でクイーンバナナ・ミラクルパイを注文、くされん坊事件があって棗はどっか行ってしまった。蜜柑の誤解も解け、私達3人は棗を探していた。

「…分かりにくいし誤解されるような事も沢山してるけど…、でも棗は仲間と思った人間は最後まで見捨てないし、いつだって自分のことより人の事ばかり考えて…」

知ってる。この世界の人達はそんな人達ばかりだ。

「相手のためにいつも黙って自分が傷つく道ばかり選んで…」

馨もナルもユッキーも柚香ちゃんの為に傷ついて、柚香ちゃんも皆の為に傷ついてた。

「…棗と蛍って何か似てるよな。」

みんな皆、優しい。

「蛍らだけと違うて、これって何かウチらも似たもん同士ってことやなっ。」
「…将来の夢、」
「え。ああ、さっきの…」
「…前に棗と話したことがある。」

ルカの後ろ姿を眺める。

「将来獣医になって…誰にもみつからない…動物の暮らしやすい土地へ行って」

きっとその夢には

「みんなで楽しく暮らせたらいいなって。」

棗だけじゃなくて葵ちゃんもいて。

「いつか…そんな日が来たらいいなって。」

夢を語るルカと

「…へえ、なんかいいな!その夢っ。」

それを受け止める蜜柑は

「くる!くるよ絶対!!」

真っ直ぐ未来を見詰めていて

「きっと叶うよ!」

…私には、眩しい。



「さてと、棗さがしにいこっか。」

そう言って蜜柑はルカに手を出す。

「うん…っ」

二人は手を繋いで歩き出す。私は二人の後ろ姿しばらくを眺めた。
すると、突然ルカが振り返った。

「佐倉、ちょっと先行ってて。」

何事だろうか。真っ直ぐ私を見るルカから目が離せない。

「…さっき話した未来(ゆめ)に、…吉田も入ってるんだからね。」

返事も聞かず、ルカは行ってしまった。思わず目を細めて後ろ姿を見詰め、その後顔を伏せる。
…やっぱり、私には眩しすぎるよ。