あのあと勝手に別行動に移した私。技術系エリアで買った『ピヨのタマゴカステラ』を食べながら、アリス学園で一番背の高い塔のてっぺんに座っていた。
昴ちゃんと会えるのは午後だろうしな。あ、ホウキに乗った蜜柑達発見。棗とルカがこっちを見てきたので手を振っておく。ルカはスゴい驚いていて、棗は半目で睨んできた。あそこは潜在系エリアかー。『テレキネシス垂直落下体験』いつでも出来るからな。むしろ水使いによる『水芸ショー』に参加したい。龍とか出せるよ!
一人ウンウンと唸っていると、近くの屋根の上に突然気配が現れた。
「漸く見つけましたよ。ユキさん。」
「あら。見付かっちゃったー。…久しぶりだね、秀ちゃん。」
「秀ちゃんはやめて下さいよ。もう高校生ですよ?」
「めんごー。私にとってはついこの間のことだからさ。」
「……ユキさん、あの時の怪我は…?」
「ん。問題ないよ。」
彼に最後に会った時の私は結構悲惨な状態だった。
「ていうかよく私のこと覚えてたね?」
初めて会ったのは彼らが6才の時、アリスが発動する直前で、一月も一緒にいなかったのに。最後に会ったのは5分もなかった。
「あんなに衝撃的な出会いを果たしたのは後にも先にも貴女だけですよ。…柚香さんにも"先生"にも聞いていましたしね。」
ちょっと新術を試していただけだ。それと二人は何言った。
「でも、"みんな"元気そうで良かったよ。」
やっぱり未来がどうなるか不安だった。私の存在は不確かで異質。大事な時に、側にいれなかった。
「ユキさん。」
いつの間にか後ろに来ていた秀ちゃんに抱き締められる。
此処は塔のてっぺんで危ない。けれど、そんなことお構い無しにぎゅうぎゅうと力を込め、首筋に顔を埋めてくる。息が擽ったい。
「…確かに短い時間でしたけど、僕らにとって必要な時間でした。」
向きを変えられて、目が合う。
「教えてもらったことが沢山あります。」
秀ちゃんの目は慈愛に溢れていて、
「…おかえりなさい。」
思わず、首に抱きついた。