櫻野Side
ドガガガ、ガシャーンッ!
「!…何の音ですかね?」
「潜在系エリアの『テレキネシス垂直落下体験』で事故があったみたいだね。」
あれから僕らは場所を移動して、屋根の上に座っている。ユキさんは僕の膝の上で、さっきあげた飴を舐めている。
「…それは大変ですね。」
「秀ちゃん総代表じゃないの?」
「怪我人もいるでしょうから昴が行った筈です。」
ユキさんがもぞもぞと身動ぐので、腕の力を抜く。
「…行くんですか。」
「うん。たまに遊びに行くね?」
「お菓子用意して待ってますね。」
「…子供じゃないよ!」
飴を舐めながらじゃ説得力が無い。可愛いなぁ。
「送って行きましょうか?」
此処からじゃ結構距離がある。そもそも普通なら此処から降りるのも一苦労だ。
「大丈夫。じゃねー。」
そう言って次の瞬間、彼女は屋根を強く蹴って、宙に跳んだ。
「っ!」
そのまま他の屋根に跳び移って行き、あっという間に姿が見えなくなった。
ビックリした…。話には聞いていたけど、想像以上だ。合う度に、驚かされる。
「…さ、始末書でも纏めるかな。」
美味しいお菓子探しておこう。
−−−−
「何で、父や母に一度も会おうとしないんですか。」
蛍の声が聞こえる。蜜柑たちが隠れている近くの木に身を潜めた。
「模範生なら、望めば面会の機会はあったハズなのに。手紙の返事だって一度も…」
昴ちゃんは頑張ってた。届かない手紙を書き続けてたはずだ。
「…両親が、この世に僕を産みおとしてくれた事には感謝している。しかし、それ以上でも以下でもない。」
私が側に居られたらよかったのに。
「もうお互い住む世界の違う人間だ。」
そうしたら、
「特に面会する必然性を感じたことはない。」
こんな心にもない、突き放すような言葉…。
「…じゃあここで。」
言わせなくて済んだのかな…。