ダンスパーティー

アリス祭4日目、最終日。後夜祭の朝、皆は教室に集まっていた。

「ねーえ!後夜祭のダンスパーティーで、ラストダンスを踊った者同士が結ばれるって伝説知ってる!?」

流石は女の子。恋のオマジナイとか好きだもんね。イヤー、そろそろ恋が動き始めるわけだ。

「ねー棗ちゃーん。」
「…あ?」
「後夜祭って校長って見に来ると思う?」
「知るか。」
「だよねー。」

怪訝な顔で見てくる棗に気付かないフリをして項垂れる。
…どうしよう。そろそろ姫様と面識を持ちたいんだけど。花姫に化けるのは簡単、忍び込むのも簡単、高校長に頼むことも出来る。でも、それじゃダメだよね。なるべく、自然に、皆の側にいなければ。私はまだ、バレる訳にはいかない。

「…ユキ?」

ちょっと、この後夜祭で仕掛けてみるか…。

方法は簡単。少し、噂を流すだけ。


−−−−

 棗Side

さっきのユキが言っていたセリフについて考える。アイツ、何考えてやがるんだ。初等部校長に見つかるのは、アイツにとってマイナスである筈だ。それとも、他の校長のことなのか。訳が分からず眉間に皺が寄る。

「…棗?どうかした?」
「いや、なんでもない。」
「そういえば、吉田いないね。佐倉達はもう来てるのに。」

ホントだ。ちっ、アイツ何処行きやがった。

すると突然、眩しいほどの明かりがステージに集められ、音楽が流れ始める。自然と目を向ける。
そこには一人の少女。

「……ユキ…?」



−−−−


どうやらこの会場に姫様はいないようだった。それでも効果はある筈だ。美しいもの好きな彼女も、この噂を聞けば行動に移すと思う。"初等部に美しい舞を踊る少女がいる"。結界のアリスを持っている彼女だ。おそらくアリスによる魅了は効かないだろう。効かないなら本物で魅せればいい。


影分身を何体か出して、音楽・照明・演出をする。会場全体に幻術をかけるのは厳しかったので、水遁でステージを飾る。水が反射してキラキラ光る。
ステージに上がり、深呼吸をする。久しぶりの高揚感。久しぶりに着た着物は少し重く感じる。


踊る舞は、昔遊廓に潜入したときに教わったもの。妖艶に舞う姿は思わず、仮面を忘れて魅いってしまった。
この幼い身体でも、少しは彼女に近づくことができているだろうか。




−−−−

 棗Side

静かに響く音楽、光に反射して光る水、そしてステージ中央で踊る一人の少女。
全てが幻想的で、誰もが魅いる。かくいう俺も目が離せなかった。

衣装や髪型、おそらく化粧もしているせいで分かりにくいが、あれは…

「…ユキ。」