蛍の治療後、ユキは病室の廊下でぶっ倒れた。櫻野は急いで駆け寄って抱き抱え、そのまま今井と生徒会室に一度戻った。
−−−−
「確かに穴は存在する。その場所も僕らは知っている。」
「…っ」
「だからといって僕らは君達にヘタに動かれるのを好まない。」
「じゃあ…」
「条件がある。」
秀ちゃんの声が聞こえる。
「君達の行動、高等部の穴の一件、これらすべて学園に一切察知されない事。」
目を開ける。あぁそうか、倒れたんだっけ?秀ちゃんか昴ちゃんが連れてきてくれたらしい。
「殿内は今回の事件で本人も知っての通り、本部のプロジェクト要員として既に名前が挙がっている。そして日向君も…」
身体を動かしてみる。このウィルスは結構キツイかも。これは抗体が出来るまで時間が掛かりそうだ。
「君達2人がいなくなれば当然そこから綻びが正じ、君達の計画は本部に露呈する。」
「…このじじーはともかく、俺は奴らに本部のプロジェクト参加を受けるなんて一言も言ってねえ。」
「棗…っ」
「てめーらの頭ん中で勝手に人を頭数に入れてんじゃねーよ。」
緊迫した雰囲気が流れる。一触即発の状態のなか、呑気な声を響かせた。
−−−−
殿内Side
「私が棗ちゃんの代わりに行くよー。」
緊迫した空気を見事壊してくれたのはソファから顔を出したユキだった。
「ユキ!?なんでこんなところにおるん!?」
「寝てたー。」
いつものごとくヘラヘラと笑っているのに、何処か違和感を感じる。
「ユキさん!」
「ダイジョーブイ。問題ナッシングだよー。」
「お前、自分が何言ってんのか。」
「ん。大丈夫だよ、明良もいるし。」
ね?と笑うユキに一応頷く。しかし違和感が消えない。
その後話は進み、夜まで時間を潰すことになった。部屋を移動するのは危険なので生徒会室に待機することにした。各々好き勝手にしているが、棗以外のガキ二人は若干居心地が悪そうだ。視界の端でユキと櫻野、今井が小声で話している。その様子を俺だけじゃなくて棗と翼も伺っている。
「ユキさん…」
「大丈夫ー。だけどもう少し寝かせてくれる?」
「ハイ。奥にもソファがあるので…。」
「ん…ごめ…」
がくんっ
「!………………寝ているな。」
「うん、このまま僕が連れて行くよ。」
櫻野に抱かれたまま、ユキは隣の部屋に消えて行った。
「…おい今井、」
「、なんだ。」
「ユキどうしたんだ?なんか様子がおかしかったけど…」
「お前には関係ない。」
「なっ!…そうかもしれねーけど、それでも心配くらいしたっていいだろ?」
「…あの人は、いつも俺達を一番に考えてくれている。それだけだ。」
「…」
「お前はこれからやるべきことを必死に考えておくんだな。…ユキさんはお前を頼りにしているようだからな。」
「!」
今井はそのまま生徒会室を出て行った。病室にでも行くんだろう。棗と翼は各々考えているようだし、俺も暫く動けなかった。