すぐ隣でペンギーとの感動の再会が行われているのに、何だろう此処の空気。
「ユキ先輩、説明してくれますか?」
笑顔だけど笑ってないよナルちゃん。
「ユキさん動かないで下さい。」
「いーよコレくらい。ただの擦り傷だよー。」
「ダメです。」
昴ちゃんは強情だねぇ。ミサキチと翼とルカは離れて見ている。でもルカ以外は目が怒ってる。怖いなー。
「もー何?何が問題?」
意外にも最初に切り出したのは棗ちゃんだった。めっちゃ睨んでるよ。
「……この3日間何してた。」
「ルカに小鳥渡したでしょ?その子に案内させたんだけど、意外と遠くてさー。往復だけで2日掛かっちゃって。」
寝てないんだよねー。病み上がりにはキツイよ。
「その怪我は?」
「んとねー。あの子瓦礫に埋もれてたんだけど、ハッキリ場所は分からなかったんだ。ヘタに術は使えなくて、素手で瓦礫どけてたから。」
眠い。目を擦ってたらナルにだっこされる。皆見てくる。
「…あんまり心配させないで下さい。」
「ん?んー…、それは、ナルもでしょ。」
「え。」
「ミサキチも蜜柑も、心配してた。」
「なんで…」
「…これから、ナルには辛いことがあるかもしれない。」
偵察に行かせた小鳥から初等部校長とペルソナの声が送られてくる。棗ちゃんは難を逃れたみたいだけれど、ナルは目を付けられてしまった。
「だけど…、皆、いるから…、」
−−−−
鳴海Side
ガクンッと気を失うように眠ってしまった先輩を見て考えてる。
"先生"のお墓に行き、柚香先輩に会った。生徒達のアリスを、"あの日"僕から奪ったアリスの一部を、僕の心を返してもらいに。あれは恋に似た友愛で。ユキ先輩が居なくなって、"先生"が居なくなって。遂に柚香先輩までもが、居なくなると決めたあの日、ひとりにしたくなくて、連れて行って欲しくて、ひとりになりたくなくて。駄々を捏ねて、本気でアリスを使おうとしたあの時同時に盗られた心。
柚香先輩は盗んだアリスストーンを置いて行ってしまった。最後に見た彼女は何か言いたげで、その顔を見ると、やっぱり心は盗られたままなんだと思った。
ユキさんが何処まで知っているのか分からない。もしかしたら全て知っているのかもしれない。今までのことも、これからのことも。
ユキ先輩。その皆の中に、先輩もいますよね…?