12月某日、蜜柑たちはクリスマスパーティーのプレゼントを買いにセントラルタウンに行った。私も誘われたが、遠慮した。この後行われる棗ちゃんの誕生日会に備えて誕生日プレゼントを用意するためだ。
ちょーっと学園を抜け出して馨ちゃんに会いに行った。会わせることは出来なくても、手紙くらいはいいかなーって思ったからだ。
「最下位決めたぞ。」
「え。…ウチー!?」
何でーっっ!?と叫ぶ声が聞こえる。ありゃりゃ、誕生会は終盤らしい。扉を勝手に開けると、蛍が一番に気付いて近寄ってくる。
「あらユキ、どこ行ってたの?遅かったわね。」
「んー。ちょっくら親友に会いに言ってたのさー。これお土産。皆で食べていーよー。」
そのまま棗ちゃんの所に向かう。棗ちゃんは持っていた砂時計を下げてこっちを見てくる。睨むなよー。ルカもそれに気付いたらしく、近くに寄ってくる。
「てめぇ、何処行ってやがった。」
「棗ちゃん怖いよー。」
「まぁまぁ棗。でもホント何処行ってたの?セントラルタウンには行かなかったみたいだけど。」
「おーおー、さりげなく核心に迫ってくるねぇルカ。」
「そ、そんなつもりじゃ」
「うんうん。あのねー、えっとねー、棗ちゃんのねー、誕生日のねー、プレゼントねー…あだだだだ。」
「さっさと話せ。」
棗ちゃんに頭を掴まれる。地味に痛いよ!
「ぶー。…棗ちゃんの誕生日プレゼントを用意してただけだよー。」
「あ、寝てたかと思ってたのに聞いてたんだね。」
「ルカ毒舌っ」
「そ、そんなつもりじゃ…」
「まぁいーや。はい。」
差し出したのは一通の封筒。何も書いていない裏面を見せながら。怪訝な顔をしながら受け取る棗ちゃんに苦笑い。
受け取った手紙を表に向けたとき、棗ちゃんの目が見開かれた。
『棗へ』
ボールペンで書かれた飾り気のない文字。それだけで誰からの手紙かを把握したらしい棗ちゃんは勢い良く顔をあげた。
「、お前…」
自分の部屋の鍵を手渡す。多分、この部屋は宴会と化すだろう。…アルコールなしの。すでにさっき蛍に渡したお菓子のゴミが散らかり始めてるし。
棗ちゃんは黙って鍵を受け取り、部屋を出て行った。
「吉田、あれ誰からの手紙?」
「んー?ままんだよ。棗のね。」
「え、お母さん?」
「そ。」
「…そっか。」
ルカは優しい顔で笑うな。自分のことのように、それ以上に嬉しそうにする。
ホントにこの世界は優しい人ばかりだ。
「お土産に買ってきたお菓子無くなっちゃう。行こールカ。」
「うん、…ユキ」
「へ?」
「ありがと」
初めて名前を呼んだルカは、軽く頬を染めて微笑んでいた。