花園会前夜

 棗Side

「「「初夜やーっっ!」」」

もっちもっち粉の効果は三人とも切れて、無事に離れる事が出来た。それでも花園会に乗り込む為に水玉を使う事にしたわけだが…。なんでコイツと一緒に寝なけりゃいけねーんだ。ユキは効果が切れたと同時にさっさと離れて行っちまったし。

「…俺だっててめーなんかと寝るのはゴメンなんだよ。」
「だったら手はなせコラーっっ!!」
「お前、絶対寝ぞう悪いし寝言言うだろ。けんなよ。」

馬鹿の一つ覚えのように騒ぐコイツに自然と眉間に皺が寄る。

「悪かったな、ルカじゃなくて。」

俺だってユキじゃなくてイラついてんだ。

「明日で終わりだ、こんな茶番。…寝るぞ。」

ユキは基本的に参加をしたがらない。遊び、イベント、会話。特に会話は顕著に表れていると思う。全員が話し終えるか自分に振られたりしない限り、アイツは口を挟まない。
それは自分の居場所は此処じゃないと悟っているようで。アイツが目指す未来には、アイツの居場所なんて無いような気がして。
俺がユキを選ぶということは、アイツにとって有り得てはいけない事だったのだろうか。

「棗起きてる?」
「寝た。」
「あんたさっきさぁー、『明日でこんな茶番終わり』って言ってたやんかー。あれどーゆー意味?」
「寝たっつってんだろブス。」
「あんたがこんなマネしてんの、つきあってやってんのにー。ウチ何も理由しらんままで。」
「寝れるようにしてやろうか?」

ブーブーうるせー水玉を木製のハンマーで脅すと、漸く静かになる。一息ついて目を閉じると再び水玉が話し出した。

「ユキどこ行ったんやろ。離れた後すぐにどっか行って、そのまま戻って来てないねん。」
「…」
「棗だってウチじゃなくてユキとおればええのに。」

俺だってそうしたかった。けれど、アイツがそれを拒むから。

「…うるせー、もう寝る。」

未だうるさいコイツを放って、今度こそ目を閉じた。
ユキが今まで必死に何かを守っていたのは知ってるし、これからの為に色々備えてるのも知っている。ユキと一緒にいたい、と思う事はアイツにとって重荷にしかならないんだろう。けれど、それでも俺は…。