殿内Side
「…話をまとめるとお前ら、中等部校長サロンを抜け出して禁域の地下でバトルをおこし、危険能力系を敵にまわし、棗の妹 葵ちゃんを連れ出し、結界蜜柑は重体…ってことか?」
こくりと翼たちが頷く。本当になんつーことをしてくれてるんだコイツ等はーっ!!ガキのくせにヤバイ山ばっかり登りやがって。この前の”穴”も相当だが、今回は俺も庇いきれねーぞ。
「ペルソナといえば初等部校長の直接息のかかった秘密私兵のようなものだ。こんな事をして関わった人間はタダではすまない。」
櫻野が真剣な目をして呟く。
「今まで…初等部校長に目をつけられた人間がどうなったか。」
その目はどこか遠くを見ているようだ。たまに、コイツ等はこんな顔をする。櫻野に限らず、今井も鳴海先生も、ユキも。
「とりあえず、今すぐ出ていけ。」
容赦ない言葉にたじろぐ。いや、突然巻き込まれたんだから当たり前だろうが…。
「…といいたいとこだけど、ユキさんに頼まれているんでね。追い出すようなことはしないよ。」
「ユキが…?」
「…そうだ、ユキは?あいつなら、どうにか出来るんじゃねーの!?」
「、翼」
「ユキさんは来ない。」
「え?」
来ない?
「ユキさんは今、別件で動いている。」
「別件?」
「あぁ。事前にユキさんから話があった。彼女はまだ花姫殿だろうな。」
「…じゃあ、ユキはこうなることが分かってたって事かよ。」
「…」
翼の悲痛な声が静かに響く。コイツは後輩想いだし、人一倍責任も感じているんだろう。けれど…
「それじゃあ、彼女が止めろと言ったら君たちは止めたのかい?」
「!」
「彼女が知っていようといまいと、この結末は君たち自身が選んだ上での結果だ。」
翼は口を閉じ、下を向いて手を握り締める。ルカぴょんも蛍も考える所があるようだ。
「…こいつらは全員まきこまれただけだ。責任は全部俺にある。」
棗のこの言葉で、ユキの事は流れた訳だけど。翼たちは知らないから、彼女が居たら、と考えてしまうんだろう。ユキは俺達に必要以上に関わるつもりはないのに。
この後、俺達は紙飛行機で号外記事を学園中にばらまき、棗と非アリスの葵ちゃんのことを全校生徒に知らせた。うまくいけば、コイツ等のしでかした事件は霞み、お咎めなしだ。
あとは、チビの事だけだな。
翼は良い奴だと信じてるけど、このメンバーでユキを責めることが出来るのは彼しかいなかった。責任を感じているからこそ。あの時いてくれたなら、と。