櫻野Side
「蜜柑!」
「大丈夫か蜜柑!?」
「佐倉!」
ペルソナのアリスをくらった彼女の様態が変わり、殿内が焦り始める。でも、彼女の手の中にある石。これは…
「染みが…」
「手に持っている石…、染みが薄くなる前より、随分色も濃く大きくなっていないか…?」
「もしかしてこれ…蜜柑のアリス石…!?」
「まさか…こんな大きさのアリス石、それなりの能力者でもそうそう作れるもんじゃない。」
黒っぽい色
「…というよりこれは、ペルソナのアリスストーンじゃ…」
「え。」
「彼女の体内を蝕むペルソナのアリスをアリスストーンとして体外に出したかのような」
「…それって」
「今言った事が当たってるとしたら、こんな風に他人の体からアリスを石にしてとりだす力に心当たりがある。」
「秀…」
盗みのアリス…
「何だってそんなアリスを蜜柑が…。潜在的に持ってて今この時発動したと考えても、そうそうこんなレアなアリス…」
『…先生』
『おねえちゃん』
「遺伝的なものならともかく、偶然にしちゃこんなアリス…」
遺伝…か。
ユキさんはコレを教えたかった…?
彼女と柚香さん、先生の繋がりを…。
────
「水遁・大瀑流!!」
大きな水の竜巻を自身の周りに起こし、目を伏せた。髪から滴る水が鬱陶しくて、バサリとかきあげる。
「…ほんに、貴女の能力は面白いですね。」
「そんな事…」
「謙遜する事はありません。本当に美しい。」
うっとりと見てくる姫さまにを一瞥してすっかり晴れた空を見上げる。
「生徒達が随分騒いでいるようですね。」
「非アリスが学園にいる、ということですね。」
「初校長がどのような処分を下すか、見物ですね。」
「なんて事はないと思います。ただの証拠不十分でしょう。」
「まぁ。」
「ただ、目を付けられた生徒が居ることは確かですけれど。」
「蓮華の君、部屋を用意させましょう。好きなだけ居るといい。」
「…心遣い、感謝します。」
姫さまの後ろ姿に頭を下げる。
私はもう、初等部には帰らない。