◎蛍と私
「蛍の発明でさー、コレの量産て出来ないかな?」
そう言って見せたのはクナイ。
今まではセントラルタウンにある金物屋で作って貰っていたんだけど、先代の人が亡くなってしまったらしく、跡を継いだ息子さんでは時間が掛かるらしい。一度頼んでみたが、強度が弱かったり、重さが軽すぎたりして、納得出来る物では無かった。今も息子さんは頑張ってくれているらしいのだが、そろそろ私も待てなくなってきた。投げたのを全部が全部拾ったりはしないから、意外と消耗品なのだ。
「…出来なくはないけれど、高いわよ?」
蛍の目がお金になってる。けどまぁ、資金を集める方法は幾らかあるし、この世界に来たての頃、ギャンブルで荒稼ぎをしていた時期もあったから…。
「ん、大丈夫。」
「ふーん…」
刃物だから気を付けるように注意してから手渡すと、蛍は興味深そうにクナイを眺め始めた。
「見た目だけじゃなくて、重さや強度、材質、出来れば手触りとかも再現出来れば嬉しいな。」
「分かったわ。」
「どのくらいで出来る?」
「コレくらいなら二日くらいかしら。」
「分かったー。いくらくらい用意すればいい?」
「…」
蛍はクナイから目を離してコッチを見た。
「…蟹で良いわよ。」
「え?」
「それで手打つわ。」
「…うん、分かった。ありがと、蛍。」
何も言わなくても察してくれる蛍は、とても頼もしくて、優しい。私の友人だ。