もうすぐアリス祭。能力別クラスに別れて行われる、初・中・高合同のイベントだ。アリス祭3日目にハリウッドスターのレオが出演するらしい。そして今日、そのレオが学園に下見に来るらしい。
「え。今日レオが来るってこと、もうバレてんの?」
「……みたいだな。」
「うん。クラスでも皆騒いでたよ。」
ユキは紙袋一杯の焼き芋を片手に、口いっぱいほうばっている。その姿はまるでリスのようで、庇護欲を擽る。鳴海が癒されている間に、岬がユキの頭をポンポンと撫でる。
変な三角関係の中、ユキがふと思い出したように言った。
「そうだ。私、今日からしばらく姿眩ますから。」
「…は?」
「え。なんで!?」
アリス祭準備がそんなに嫌!?と騒ぐ鳴海を一瞥し、背を向けて歩き出す。
「まあ、分身は置いてくから、何かあったら言って。」
後ろで騒ぐナルを放置して病院に向かう。
"Z"が動き出す−…。
−−−−
棗誘拐事件のとき、私はどの位置に居るべきかを考えた。…棗と一緒にいる?蜜柑とスミレに目撃されて、大袈裟になる。…蜜柑達と一緒に追いかける?走るの遅いし、第一目的地まで結構距離があるから面倒臭い。
「玲生さん、アリス学園関係者らしき人物2名が校門を出たあたりからずっとこの車を追ってるんですが。」
「んー…」
「この発信マークは…多分、生徒です。…どうしますか?」
結果、
「捕まえちゃおうぜ。」
……………。
「「「うわあぁぁぁぁっっ!!!!!?」」」
運転席に一人、後ろの座席にレオともう一人が座っていたので、気配を消して助手席に座っていた。レオが乗り込んだときからずっと。
確かに気配消してたけどさ。もっと早く気付いて欲しかった。堂々と座ってたのに。あれか、ドラえもんの秘密道具、"石ころぼうし"みたいな。かぶると石ころみたいに気にならなくなる、みたいな。…ちっくしょう!忍としては嬉しいことなのに気分は複雑だ。
「なっ!!お前いつから!?」
「最初からいたじゃーん。気付いて貰えないとかかーなーしーいー。」
わざとらしくメソメソと泣くフリをする。
「っ!!一体何が目的「待て!」…玲生さん?」
「………もしかして、吉田ユキ?」
口角が上がる。
「…ビンゴ。」
流石レオちゃん。