お昼のひと時

お昼休み。週に数回、斑とお昼を一緒にしている。自分の料理を他人に食べて貰う機会なんて殆ど無いから少し緊張する。

「斑、美味し?」
「まぁまぁだな。」
「むー、手厳しいなぁ。」
「…明日はエビフライだな。」
「ふふっ、はーい。」

口いっぱいに頬張りながら食べる姿は本当に可愛いらしい。思わず微笑むと腿をペシリと叩かれる。

「何を笑っておるのだ。」
「えー?いや、可愛いなぁと思って。」
「フフン。そんな事知っておるわ。それにしてもアイツ等はさっきから何をやっておるのだ。」

斑がチラリと見た方に視線を移すと、木の陰に隠れてコッチを見ていた透ちゃんがワタワタと慌て始める。

「ふふ、可愛いねぇ。」
「お前…時々ババクサいな。」
「失礼しちゃうなー。まぁあの子達よりも長生きしてるのは確かだけどね。」
「ふん。」
「此処は平和だねぇ。」

後ろに手をついて空を見上げる。昼夜問わず命のやりとりをしていた身としてはこんなにのんびりする事なんてなかったから、たまにふと口から零れるのだ。
斑は片目を開けてチラリと私を見る。そしてそっと近付いてきて膝の上に黙ってちょこんと座った。

「斑は軽いねー。」
「元は招き猫だからな。」
「そっかー。」

斑の背中を撫でながら微笑んだ。



────

「可愛ぃぃぃぃい!!」

木に隠れながら悶えているタキに苦笑いを零す。俺と田沼はそれを横目に弁当をつついている訳だが。

「なんか楽しそうだな。」
「確かにな。」
「ポン太って妖怪なんだよな。あの転校生は、その…妖怪が見えるのか?」
「あぁ、うん。そうみたいなんだ。なんか先生の昔からの友人?なんだってさ。」

友人にしては距離が近い気もするが猫だしな。

「昔から?どういう意味だ?」
「はは、俺もよく分からないんだけどさ。」
「まったく、お前等は何をやっておるのだ。」
「先生!」
「猫ちゃぁぁぁああん!!!」
「グオッ!!」
「え?」
「お、塔子の卵焼きではないか。」
「うまうま。」
「あ、コラッ…って…」

木の上に先生が一匹。タキに捕まっているのが一匹。弁当を食べている先生が二匹。…え?

「ウワァァァアッッ!!」
「せ、先生が分裂したぁぁぁああ!!??」
「キャァァアッ!可愛いぃぃ!!」

えええええ。悶えてるタキにドン引きする。

「ぶっくくくくく…」
「お前は本当にたちが悪いな。」

後で先生達に種明かしされ、再び叫んだのは別の話だ。





ユキちゃんの分身。意外と悪戯好き。