「あ、夏目くんだ。夏目くーん!」
「タキ。」
「!!はぅっ!猫ちゃん!!」
「げっ、小娘!」
タキはいつも通り先生に抱きつく。先生は潰れるくらい抱き締められていて苦しそうだ。思わず苦笑いが浮かぶ。
「透ちゃん。」
「はっ!ゴ、ゴメンね?あまりに可愛くてつい。」
「ふふっ。透ちゃんは可愛いもの好きなんだっけ?」
「う、うん。そうなんだ。」
へへ、と笑うタキ。この子、タキが言ってた転校生だ。一度だけ遠目に見たことがあったな。やっぱり暖かい笑顔だ。
「はじめまして、かな?5組に転校してきた吉田です。」
「あ、どうも。2組の夏目です。」
「やだー、なんで二人とも敬語なの?」
「あ、あぁ。そういえば。」
「ふふっ、宜しくね夏目くん。」
「こちらこそ。」
ーーーー
タキに締め付けられていて気付くのが遅れたが、見間違える筈がない。コイツは…。
しかし人の一生は短い。レイコに孫が出来ているくらいだ。ユキにも孫が出来ていたって可笑しくはない。
夏目たちと笑いあっていた顔が此方を向いた。
「ネコちゃん?この子夏目くんとこの子?」
「あ、あぁ。」
「へー、ブサカワってやつかな。」
「ぶはっ!!」
な!なんて失礼な童だ!全身の毛を逆立てて威嚇をする。腹を抱えて笑っている夏目も後で喰ろうてやるわ!!
「ね、貴方のその姿は本物?」
思わず息が詰まる。笑っていた夏目も目を見開いている。
「、よく気付いたな。ククッ、喰うには勿体無い。」
「!先生っ」
「えぇ?食べる気だったの?」
その顔に浮かぶのは挑発。コイツは…
夏目とタキがハラハラとしているのを横目に、私は口元に浮かぶ笑みを隠すことが出来なかった。
「…、私の姿を見てもそんな事が言えるかな。」
ボフンッと音をさせて元の優美な姿に戻る。夏目の焦った声を聞き流しながら見下ろす。すると、目を細め、ふわっと微笑んでいた。
「ー…やっぱり綺麗。」
そっと伸ばしてきた手に鼻を近付ける。優しく撫でられ、静かに目を閉じた。