彼女と旨いもの巡り inマグノシュタット
「賑やかだねえ!」
「ホントすげえな。」
国民等級2を取得し、スフィントスくんと二人で市街地を探索していた時の事だ。隅々まで調べようと一際賑わいのある市場に来ていた。大きな声で呼び込みをするおじさんや果物を手にとって悩むおばさん。何処にでもある光景に口元を緩めた時、視界の端に此処の国民とは少し違った服装をした人物が映る。
「あれ?」
「ん、どうした?…あー、なんか変わった格好の奴だな。国民じゃねえのかな。」
どこかで見たことがある後ろ姿だ。その人物は片手に大量の荷物を抱えていて、店主と一言二言言葉を交わしてからクルリと振り向いた。
「…ユキさん!?」
「え?あ、おいアラジン!」
スフィントスくんの声を後ろに聞きながらもタタタと走り寄ると、ユキさんは片手を挙げて迎えてくれた。
「あらーアラジンくんこんにちはぁ。」
「あ、こんにちはー。…じゃないよ!どうしてユキさんが此処に!?おじさんはどうしたの!?」
「観光ですよぉ観光。」
観光!?よくおじさんやジャーファルおにいさんが許したなぁ…。久しぶりに会えたユキさんに嬉しくて笑っていると、スフィントスくんが追いついてきた。
「おーいアラジン!いきなり走るなよ!」
「ご、ごめんよスフィントスくん。」
「で?誰だよこの人。」
「あ、ユキさんだよ。コッチはスフィントスくん。」
「こんにちはぁ。」
「どーも…」
ぺこりとお互いに挨拶する。
「それよりユキさんはどうやってこの国に入ったんだい?何重にも結界が張ってあっただろう?」
「?どういう意味だよアラジン。」
「結界ぃ?あぁ、そんなのもあったような無かったような。」
「え…ええ!?」
フワリとユキさんの周りにルフが舞う。だけどそれらは舞うだけで、決して彼女には触れない。まるで、そこに膜でもあるかのようだ。
「ああ、そうか。ユキさんには関係ないんだったね。」
「ちょ、どういうこと!?」
ここでは僕は誰とも違う。けれど、ユキさんはこの世界の誰とも…
「そういえばアラジンくんご飯食べました?」
はっと意識が浮上する。
「ううん、まだだよ。」
「え、ちょ、無視!?」
「さっきのおじさんに美味しい穴場の店教わったんですぅ。行きません?」
「わぁっ!行きたい!」
「ま、待てって!」
僕が何とか、そんなことよりも今はユキさんと出会えた事に感謝して楽しもう。
「でも僕、久しぶりにユキさんの料理も食べたいなぁ。」
「んー、じゃあ夕飯は作りますねぇ。」
何処で作るんだろうとか疑問は浮かんだけれど、ユキさんに出来ないことはないよね。
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