仮装とシンドバッド
シンさんに報告をし終わり退室しようと扉に足を向ける。そして、ふと感じた人の気配にピタリと足を止めた。
暫くジーッと扉を見つめているとコンコンという音が鳴り、ガチャリと扉が開いた。

「失礼しますー。シンさん今お手すきですか?」
「おおユキ…それにヤムライハとピスティ。どうした?」

俺が居た事に動揺しないのは、俺が居る事が分かっていたからだろうか。退室したほうがいいだろうと足を外に向けると、ユキさんがそれを制した。俺が居てもいいのだろうか。

「試作第一号が出来たんですぅ。シンさんどうぞぉ。」
「おっありがとうなユキ!早速着てみても良いか?」
「是非ぃ。」

布に包まれたソレを手に、シンさんが衝立の後ろにまわり着替え始める。あぁ、昼間言ってたハロウィンの仮装か。

「どうだ!似合うか!?」
「おーバッチリですよぉ。」
「なんスかソレ…」
「…ユキ、耳がついただけじゃないの?」
「あ!尻尾もついてるよ!」
「一応服も着替えたんだぞ。生地は少し薄いが、良くできてるな!」
「他の人用に安く仕上げましたからぁ。」

ユキさんはシンさんの足下に近寄って、裾を直す。それを横目にピスティとヤムライハさんが王様をジロジロ見ながら思案し始めた。

「茶色の尖った耳に、フサフサの尻尾…」
「なんの動物だろ?」
「知らなかったんスか?」
「うん!見本が出来たから見にくる?って誘われたから来たの!」
「へぇ…」

どうやらヤムライハさんも知らないようで首を傾げている。俺も分からないので首を傾げる。すると、それを見たユキさんが不思議そうな顔をしてシンさんをまじまじと見つめる。

「えー?どう見てもアレしか無いじゃないですかぁ。」
「アレ?」





「狼男。」

「「「…あぁ。」」」
「え、ちょっなんだその顔は。なんだその目は!!」

狼狽えるシンさんに、自業自得だと小さく溜め息を吐いた。
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