銀時ver.


おはようございまーすといつものように万事屋を訪れた新八。
中に入ればソファで卵かけご飯をかき込む神楽と、布団からはみ出しながらうつ伏せで倒れている銀時が目に入る。また呑みすぎたのかと呆れた目を銀時に向けてから、新八は台所へと向かう。
自身の茶を入れようと湯をわかし始め、ソファへと腰掛ける。

「そういえば姉上が言ってたんですけど、よく効く薬屋が出来たんですって」
「じゃあ現在進行中で二日酔いの俺に薬買ってきてくれよォ。気が利かねぇなぱっつぁん」
「なんで僕が買ってこないといけないんですか。自業自得でしょ全く」
「アネゴどっか悪いアルか?」

お腹を大きく膨らませて満足したらしい神楽がゲップをしながら問いかけてくる。相変わらずすごい量を食べたようで、三角コーナーは卵の殻で一杯だった。後で片付けなければと考えつつ神楽に答える。

「ううん、そうじゃないんだ。仕事場で美容の話で盛り上がったみたい。でも頭痛とか胃もたれとかなんでもよく効くらしいよ」
「なんか胡散臭いアルな」
「実はさっき姉上に頼まれて寄ってきたんだけど、落ち着いた雰囲気でお店の人も若い男の人だったよ」

イケメンアルなと納得したのか頷く神楽を横目に再度台所へ向かう。
3人分のお茶を入れ、更に湯呑みを一つ追加し湯を注ぐ。テーブルに湯呑みを3つ置き、さらに銀さんに湯呑みを1つ差し出す。

「はいどうぞ、銀さん」
「あぁ?なんだよコレ」
「薬湯です。試供品でもらったので飲んでみてくださいよ」

うつ伏せで倒れている銀さんがずりずりと這い寄ってくる。
湯呑みを覗き込んできた神楽ちゃんはすぐに鼻を摘んで眉間に皺を寄せる。確かにドロリとした緑色の液体は好んで飲みたい物ではない。効きそうではあるが。

「うわぁ、すっごい色と匂いネ。早く飲んでヨ銀ちゃん」
「そんなすげぇの?なんつーもん飲ませようとしてんだよ」
「良薬は口に苦しって言うじゃないですか。ほら、早く座ってください」

頭痛ぇと文句を言いつつ起き上がった銀さんに湯呑みを渡す。くん、と匂いを嗅いでから更に眉間に皺を寄せて銀さんは飲み始めた。

「そういえばお店の人が言ってたな」

黒髪で落ち着いた雰囲気の店主を思い出す。漢方とか薬草の香りのする店内で、店外へ出ようとする僕に向かって目を細め、口角を上げた彼。



『店主によろしく』

知り合いですか?と不思議そうな顔をする新八と効果を聞いてくる神楽を視界の端にとめ、湯呑みの中の薬湯を飲み干した。
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