晋助ver.
窓から外を見ればそこはどこまでも続く宇宙空間。誰もが宇宙旅行に気軽に行けるようになって数年。
先程まで地球の江戸に居たのだが、気が付けばこの鬼兵隊の宇宙船に居た。ただし、これは今回が初めての事ではなかった。未だ見慣れないその景色を視界に認めつつ、目の前の人物にため息を吐いた。
「いやだからさぁ、そうひょいひょいと口寄せすんなってば」
「別に戻れるんだから問題ねぇだろォが」
血で契約を交わした者を呼び出す、時空間忍術口寄せの術。その術式を書いた巻物を、怪我も多そうだし念の為と晋助に渡しておいたわけだが、何を思ったか晋助は週一くらいで呼び出してくるのだ。戻る時はシカマルかユキに携帯で連絡してその都度口寄せしてもらうので面倒なんだが。巻物も作り直しである。
酒に付き合えと瓶を揺らす晋助。
そのラベルを見れば見慣れない銘柄。確か出羽の国の方で作られてる酒だったか。いくら江戸が発展したとはいえ、地方では未だ交通網は整っていない。運搬費だけでもそれなりにかかることもあり、なかなかの希少な酒だったはずだ。わざとらしくため息を吐いて晋助の近くに胡座をかいて座った。
初めの一杯は互いに注ぎ合い、その後は手酌で呑むのがいつの間にかの恒例。猪口に注いだ大吟醸は澄んでいて、口に含めばフワリと香りが広がった。
なんかツマミ欲しいよなと視線を巡らせれば、ちょうど良く扉の外に知った気配がした。
「晋助様、失礼するっス」
ガラリと開いた障子に晋助の返事の代わりにナルトがヒラリと手を挙げる。また子はそれを見てパチリと目を瞬いた。
「あれ、ナルト先輩此処にいたんスね。最近見かけなかったからまた引き篭もってるのかと思ってたっスよ。あ、コレお夕飯っス。万斉先輩が2人前持ってけって、ナルト先輩がここにいるからだったんスね」
自己完結したのかうんうんと頷きながら、また子は持ってきた膳を近くに置いた。じゃあお邪魔したっス!と元気よく挨拶をして扉の向こうへ消えた。
「…」
「…ちょっと待て」
「…」
「俺また子に此処に住んでるって思われてんの?」
「そうみたいだな」
「前から先輩って呼ばれるの不思議に思ってたけど、アイツ俺のこと鬼兵隊のメンバーだと思ってるってば?」
「そうみたいだな」
・・・
「いやなんでだよ!時々治療しに来てたくらいじゃねぇかよ!」
「別に問題あるめェ。鬼兵隊の治療担当、あながち間違いでもねぇんだからよ」
「まぁそうだけどよぉ」
少し口を尖らせて不満気な顔をするナルト。大の大人がそんな顔をしても可愛くもなんともないが、あの頃に比べ気が抜けているのは間違いない。
その理由が未だに話した事のないユキという女だというのだから興味深いのだが、いかんせんガードが固ぇ。ガキの頃から散々ユキについて自慢してきやがったくせに、本人達におそらく自慢した気は無い。無意識に零していた言葉を繋ぎ合わせた結果、俺たちは随分とユキに詳しくなった。
「なんならお前らのじゃなくてユキを呼べる巻物をくれたっていいんだぜ?」
「あー…、まぁユキは会いたがってたけどな」
「へぇ?」
意外な台詞に口角が上がる。
「いやでも顔にはあんま出ないけど、あいつ結構ミーハーだから。晋助の顔は絶対好みなんだよなぁ」
それはそれで面白くない、と不貞腐れるナルトにふはっと笑いが漏れた。
「そいつァ光栄だねェ。是非とも会いに行かねぇとならねぇなァ」
次に地球に立ち寄るのはいつ頃だったか。京だったはずだが、江戸などすぐ近くだ。
「ま、そんときゃ酒でも用意しておいてやるってば」
会わせるべきか会わせざるべきか、色々考えた後にため息を吐いて言ったナルト。漸くお許しが出た事に口角が上がるが、それを隠すように酒を口に運ぶ。
そして、希少酒を要求すればナルトは呆れながらも了承して笑った。
口寄せの巻物は中忍試験の時に印無しで発動してたヤツと同じ感じです。巻物を開くとボフンと出てきます。
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