天竺が動き出すと知った翌日。珍しく竜胆よりも早く起きてきた蘭は、深愛の座るソファにぎゅーぎゅーに詰めて自分も座り、祖父母と4人でまったりとテレビを見ていた。
昨日あんな事があったとは思えないほどの穏やかな時間。
嵐の前の静けさのような気がして、深愛は少しだけ心がざわついていた。
どうしたって、この先の事をぐるぐると考えてしまう。
「…ねぇ、蘭ちゃん、」
「ん?」
「年少でさ、イザナが動く時はみんなで集まるって、そう約束してたんだよね?」
「…あぁ」
「じゃあ…ムーチョは?今は東卍の隊長でしょ?」
「あぁ、あいつもそのうち来るよ。
でも東卍抜ける前に、あいつには大事な任務があんだよ」
「任務?」
「イザナはこれから天竺をでかくしていくために、元10代目黒龍の主軸で、今は東卍の壱番隊にいる九井一を欲しがっている。あいつの役目は九井を落とすことだ」
「え…そうなの!?でも…どうしてココくんを…」
考え込む深愛を、ピクっと片方の眉を上下させた蘭の深い紫色の眼が捉える。その間わずか1秒ほど。
そして一瞬の沈黙が2人の間に流れた。
「…え、待って」
「ん?」
「…何?“ココくん”って」
久々に見る“本当に怒ってる時の蘭の顔”に、思わず「うわっ」と声を上げそうになってしまう。
某漫画なら後ろに「ゴゴゴゴゴ…」って効果音が描いてあるところだろうな…。
「いつの間に九井と仲良くなったの?そうならないように取引の時も必ず俺らが間に入ってたよね?」
「あ…アレはそういう…ことだったのね…」
「…で、何があったのかな?
お兄ちゃんに洗いざらい話せるよね?」
「ヒィッ…!」
おでこがぶつかるんじゃないかくらいの近距離でにんまりと笑って強めに肩を捕まれ、ついに深愛は悲鳴をあげた。