貴女参り
戦闘の跡が色濃く残るエレジアの地で微かに残る彼女の生きた証を辿る
彼女の肉体は憎き男が盗んで行ってしまった
彼女の心は悪しき麦わら帽子が攫って行ってしまった
『私は、私だけは……信じているのに。』
貴女の夢も、世界も、空虚も
『どうして連れて行ってくれなかったの』
あんなに沢山一緒にいたのに私にだけ何にも残してくれない。こんなに貴女を思って胸が張り裂けそうなのに寂しい土地に私だけを置いてきぼりにして。
私だったら赤髪のように貴女を悲しませたりしない
私だったら麦藁のように貴女を否定したりしない
なのに、どうして
『置いていかないでよぉ、ウタちゃん……』
私も貴女と同じ夢を見ていたのに
貴女がいればなんにもいらない
だから、連れてってよ。
新時代
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