神秘的な人
「なまえ」
毎日、毎日。飽きもせず私に花を持ってくるひとがいる
「昨日ぶりやなあ。これ、今日のぶん」
『ありがとう……』
受け取った花束に顔を近付けて息を吸い込むと甘い蜜の香りが肺に溜まった
「なあ、そろそろチリちゃんに靡いてくれてもええんちゃう」
しゃがみ込んだ私に合わせるようにして長い脚を折り畳んだそのひとの煌めくルビーが此方を覗く
『……今日のお花は貴女のお名前が入ったお花ね』
「せやんなあ。今日こそは"良い便り"が聞けるとええなあ思て」
『そう……』
手にした花束から1本花を抜き取り彼女のシャツの胸ポケットに刺した
『"良い便り"かどうかは分からないけれど……ランチくらいは御一緒しても良いわ』
「よっしゃ!」
元気に立ち上がった彼女の胸でチリアヤメが揺れた
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