12月25日になり、私はベットの足元にあったプレゼントの山が目に入りました。
1番上にあるのは…リーマスさんからです!
開けるととっても可愛いブレスレットが入っていました。
銀色の小さなチャームがついていて、それが狼さんの形に見えました。
ふふ。リーマスさんにそっくりです!
「メリークリスマス、リーマスさん」
呟き、他のプレゼントも開きました。
ハリーくんからは可愛いライオンのぬいぐるみを。
ロンくんからは新しい羽ペンと七色に変わるインク。
ハーマイオニーちゃんからはお菓子の詰め合わせを。
なんとドラコくんからも、ドライフラワーを頂きました。
もう1つ包みがあったので、あけると手編みのセーターが出てきました。
裾が長めで、太股あたりまであります。ハイソックスだけを履けば丁度よさそうです。
これは噂の『ウィーズリー家特製セーター』では…!?
嬉しくなって早速着替えて、談話室に向かいました。
「まさか、リクが着ている、それは!」
「フレッド先輩! あの、先輩のお母さんから頂きました。ありがとうございます」
「やっぱり身内じゃないと力が入ってるな…」
「ふふ。ジョージ先輩とお揃いですね」
双子さんに挟まれたので私は交互に笑いかけました。
ロンくんがセーター姿の私を見て驚いていました。
「メリークリスマス!
どうでしょう? 似合いますか?」
ハリーくんとロンくんがこくんと頷いてくれました。
「リク、プレゼントありがとうね」
「いえ、こちらこそ素敵なぬいぐるみ、ありがとうございます」
沢山の人に囲まれて、なんて幸せなクリスマスなんでしょう。
リーマスさんにも伝えたいくらいに楽しかったので、今晩の手紙は凄く長くなるのでしょう。
その日の朝食はとっても豪華で、大きなクラッカーなども置いてありました。
クラッカーの中からは二十日ネズミなどが飛び出し、玩具なども沢山出てきました。
そのあとは誘われるままに雪合戦に参加しました。
私はジョージ先輩とフレッド先輩と組み、ハリーくんやロンくん、パーシー先輩にも雪玉を投げました。
ジョージ先輩、フレッド先輩のおかげで私には雪玉は当たりませんでした。さすが悪戯仕掛け人の後継者。とっても強いです。
ビッショリ濡れてしまった皆さんを気遣いながら談話室に戻り、ハリーくんとロンくんがチェスをしている間、私は早速リーマスさんへのお手紙を書いていました。
プレゼントのお礼に、今日のことはもちろん、最近の授業のことも、前回のお手紙の返事も、沢山書きます。
ふと昨日見た鏡を思い出してしまって、リーマスさんへの罪悪感も思い出します。
リーマスさんは本当に私を大切に思っていてくれているのに。なのに、なのにわたしは。
†††
次の日のハリーくんは何だかおかしい様子でした。
聞くと、なにやら素敵な鏡を見つけただとか。
今晩はロンくんと見に行く。と嬉しそうにいって、私も誘ってもらいましたが、丁寧にお断りしました。
私はもう、あの鏡には近寄りたくなかったのです。
私は図書館に向かい、ニコラス・フラメルさんの名前を探していました。
もういっそのことスネイプ先生に聞いてしまいましょうか。……減点されそうなので止めます。
3日程立つと、ハリーくんも鏡のことは何も言わなくなりました。そのことに安心します。
そしてクリスマス休暇が終わってしまいました。
†††
また私は地下牢教室にいました。
今日は薬を頂きに来た訳ではありません。
最近、暇になってしまったときは、図書館でニコラス・フラメルさんを探すか、図書館に飽きたら、地下牢教室に来ていました。
最初、スネイプ先生は驚いた顔をしていましたが、私が大人しく教室にある魔法薬物の本を読んでいると、何も言いませんでした。
先生はよく教室の前で、授業の準備か、または何かの調合を試していました。
後者は本当に実験のようで、先生は時々顔をしかめたり、逆に満足そうにしていました。
何でかわかりませんが、ここは居心地がよかったのです。スネイプ先生の表情を見ながら私はここにいました。
スネイプ先生がまた少し顔をしかめました。
新薬の調合に失敗してしまったのでしょうか。
とっても難しい事をしているみたいです。
「手伝いますよ」
ふと私が声をかけると、先生はちらりとみて少し悩み(そう見えました)、材料を指差します。
「……催眠豆を潰しておけ」
「え。潰すんですか? 刻まないんですか?」
「催眠豆は銀のナイフで潰した方がより多くの汁が出る」
いう通りに豆を潰すと、なるほど。沢山の汁が溢れ出てきました。教科書は時々嘘付きさんです。
作業をしながらスネイプ先生が言いました。
「それが終わったらポリジュース薬を調合して貰おうか」
「はい――じゃありません! 先生、私、ポリジュース薬なんて作れませんよ」
汁を指示されたまま鍋にいれ、先生を見ていたら、彼は前を見たまま私に言いました。
ポリジュース薬なんてとんでもない。
そんな高度なものは頭のいいハーマイオニーちゃんに任せてあげて下さい。
ですが、スネイプ先生は何時もの授業と同じ様に、杖を振るいました。
「作り方は黒板に、」
黒板に文字が浮かび上がります。次に振るった杖で薬草棚の扉が開きました。
「材料は棚にある」
そして私は黒板と睨めっこ。…激ムズ。
「……えっと、こことか、時間を置かなくてはいけない箇所ありますよ」
「今、出来るとこまでやれますかな」
そこでスネイプ先生はやっと私を見てくれました。
見下すような、挑戦的な冷たい目。あ。なんとなく私の何かを刺激しましたよ。
なんだか…もやもやとした…、……反抗心?
思わず私は勢いよく答えてしまいました。
「出来ますよっ! 出来ますけど…失敗するかもですからね!」
「失敗したらグリフィンドールの減点だ」
「わ、私、1年生ですからねっ、うぅ…」
私は軽く泣きながらも棚に材料を取りに行きます。
黒板をじいと見ながら材料を調合していきます。
なんだか、補習を受けている気分でした。