私は夕食の時にロンくんと座っていたハリーくんの側に駆け寄って、小声になりました。

「ハリーくん、どうなりました?」
「聞いてよリク! 僕、クィディッチの選手になれたんだ。シーカーってポジションなんだ」
「わぁ、おめでとうございますっ。
 私、そこまで詳しくないですけど、絶対に応援しますね」

ニコリと笑うとハリーくんも笑い返してくれました。

ロンくんにクィディッチのルールを教えて貰おうとした時、私の肩を後ろに引く手がありました。
ドラコくんです。クラップくんとゴイルくんが側にいます。

「ポッター、最後の食事かい? マグルのところに帰る汽車にいつ乗るんだい?
 リクもわざわざ付き合わなくてもいいだろう」
「私、ご飯まだなのですー」
「地上ではやけに元気だね。小さなお友達もいるしね」

私がサラダに手を伸ばしていると、ハリーくんとドラコくんの間で『決闘』の話をしていました。

うん。このサラダ美味しいですね。
あ、ご飯食べたら薬な苦い金平糖を食べなくてはいけません。

「―僕が介添人をする――」
「―真夜中でいいね? トロフィー室にしよう。
 ……リク、主食、食べてないじゃないか」
「私、ベジタリアン」
「嘘をつくな」

私のお皿の上にパスタが盛られました。
う…。出されたものは食べなきゃ日本人精神が溢れ出ます。

立ち去るドラコくんに「バイバイ」と手を振りました。パスタを口に運びます。ん、これも美味しい。

「ちょっと、失礼」

何時の間にか隣にハーマイオニーちゃんがいました。

「聞くつもりはなかったんだけど、貴方とマルフォイの話が聞こえちゃったの…」
「聞くつもりがあったんじゃないの」
「……夜、校内をウロウロするのは絶対駄目。もし捕まったらグリフィンドールが何点減点されるか考えてよ。それに捕まるに決まってるわ。
 まったくなんて自分勝手なの」
「まったく大きなお世話だよ」
「バイバイ」

ハーマイオニーちゃんの言葉にハリーくんとロンくんが言い返します。
私はちゅるっとパスタを啜っていました。うん、ハーブがいい香り。

「リクもよ! 何で止めなかったの?」
「ごめんなさい、ハーマイオニーちゃん。
 でも男の子同士のお話でしたから…。
 女の子にはわからないものですよ。
 ほら、ハーマイオニーちゃん、このパスタ美味しかったですよ」

私はパスタをオススメしました。

きっとこのパスタ、ドラコくんのオススメだったのでしょう。
日本人の私の口にもぴったりでした。

その横で、ハーマイオニーちゃんはまだ納得はしていないようでした。


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