そして晩御飯の時間になりました。

ハーマイオニーちゃんは暫く見かけていません。

お話の通りならハーマイオニーはトイレにいて、そしてもう少しで何か大きな人?(ト、トレール…?)が来てしまうのです。

わかっているのに、わかってはいるのに私はハーマイオニーちゃんの元に行ってはいけないのでしょうか…。

今、ハーマイオニーちゃんは1人で泣いていて、今こそ友達の私が行くべきではないでしょうか。

あわよくばハーマイオニーちゃんに怖い思いをさせずにト…なんとかさんから、ハーマイオニーちゃんを守りたいです!

「……行かなきゃ」
「えっ? リク、これから夕食だよ?」
「いえ、私、行かなくてはいけません」
「ちょっと、リク何処に!?」

ハリーくんの言葉を私は遮って、蝙蝠の飛び回る大広間に背を向けました。

大理石の階段を急いで下がり、ハーマイオニーちゃんがいる筈のトイレに向かって走りました。

これが正しい選択だと信じていましたから。


†††


私は目を開けました。

目を開けました…?

「リク! 目が覚めたのね!?」
「ハーマイオニー、ちゃん…? 私…ここは?」

私は気が付くと医務室で寝転がっていました。
隣にはハーマイオニーちゃんが不安げに私を見つめていました。

「リクが談話室にいなかったからびっくりしたのよ!! どうして階段なんかで倒れていたの!?
 トロールにやられたの!?」
「ちょ、ちょっと待ってください、あの私、階段で…?」

頭が割れるようにじんじんと痛みます。ぎゅうと頭を抱えていると、マダム・ポンプリーが私に駆け寄ってきました。

「グレンジャー! あまり病人を刺激してはいけません!
 ほら、顔は確認したでしょう? 談話室に帰りなさい。みんなでハロウィーンのパーティーの続きをしている筈です!」
「あの、ポンプリー先生、ちょっと待ってください。
 ハーマイオニーちゃん…、私、どうして?」

私は確かにハーマイオニーちゃんの元に向かっていたのに。
ハーマイオニーちゃんが私の頭を何度も撫でてくれました。

「ハリーとロンに聞いたわ。貴方、ハロウィーンで大広間に向かう前に何処か違う場所に行こうとしたんですって?」
「はい。そうです。でも私、そのあとのこと……わからなくて」
「そうなの?
 あのあとね、トロールが学校の中に入ってきて、生徒はそれぞれの寮に帰されたの。
 私は、その、…色々あってトロールに出会ってハリーとロンに助けられたの。
 終わって談話室に行っても貴女はいないし…、聞けば医務室にいるっていうし、心配したのよ!」

では結局、お話通りに進んだようです。
ハーマイオニーちゃんの少し清々しい顔はそういうことだったのでしょう。

私、は。

「なんで倒れていたのでしょう…ね」
「覚えていないの?」
「はい。………全く覚えていません…」

何故か身体が震えます。どうして、私は。

「ほら、もう身体に障ります! グレンジャーは戻って!
 ルーピンはまだ眠っていなさい。あとでクィレル先生にお礼をいっておきなさい」
「クィレル先生?」
「貴女を1番に見つけてくださったのよ」

え…、今年の黒幕は確か―――。


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