「Ms.ルーピン、作ったポリジュース薬は成功していた。材料庫にしまっておく」
そういえば、私の作ったポリジュース薬。
きちんとうまく作れていたようです。沈んでいた気持ちが少しだけ晴れました。
小さく微笑むと、先生が意地悪そうな顔をしました。
「これでもしクィディッチで優勝しても、寮杯争いでは勝てませんな」
これは。前にしたクィディッチの話を根に持ってますね!?
「わ、わかりませんよ。クィディッチ杯獲得して、他にも沢山、加点させますもん」
「今までスリザリンがとってきたのだ。渡しはしない」
「今までとっていたからって今年も。とは限りませんからねっ」
また私は言いきってから頭を下げ、寮の入り口に向かいました。
合言葉を言うと太った婦女が声をかけました。
「初めてスリザリン寮監と仲がいいグリフィンドール生をみたわ」
「仲良くないですよ!? ぜんっぜん仲良くないです!」
「はいはい」
意地悪なスネイプ先生。仲が良いわけありません!!
†††
私が20点減点されて、ハリーくん達3人が1人50点減点されて、グリフィンドールは一晩に170点も減点されてしまいました。
ハリーくんとハーマイオニーちゃんと、一緒にいたのはロングボトムくんでした。
ドラゴンの話を聞いていて、止めようとしてくれていたらしいのです。
スリザリン生は私達に冷やかしの感謝の声をかけ、スリザリンに対抗していたハッフルパフやレイブンクローまで私達を冷たい目で見ていました。
ハリーくんは有名だった分もあり、その視線は酷いものでした。
ハーマイオニーちゃんも目立つ事は止めて授業中も静かに受けていました。
ロンくんだけは私達の味方でした。変わらず私の側にいてくれます。
「で、リクは?」
「私ですか?」
ここはお馴染み?アズカバン監獄内。
今、シリウスさんにドラゴン誕生から今までの経緯をお話していたのでした。
前よりは元気になった(といえどもまだまだガリガリな)シリウスさんが心配そうに私を見ていました。
私はゆっくりと首を振って微笑みます。
「私は大丈夫ですよ。そこまで酷く言われてませんし、スリザリン生はドラコくんが止めてくれてるみたいなんです」
ドラコくんも変わらず私に接してくれていました。
時々「だからスリザリンがよかったろ?」とは言われますが。
「……ふぅん、マルフォイの所のねぇ」
シリウスさんは少し不機嫌そうにそっぽを向きました。
スリザリン生の事はやっぱり嫌いみたい。いい人もいると思うんですが…。
「……というか、抜け出すならもっと上手く抜けなきゃダメだろう」
「いい大人の方がそういうこと言っちゃ駄目だと思いますけど…」
「リーマスが聞いたら呆れるぞ? 『あそこにはいい抜け道があったでしょ』って」
「言いませんって。……多分」
リーマスさんは平和主義と信じる私には悪戯仕掛人とやんちゃする彼を想像出来ませんでした。
たとえシリウスさんからのお話を聞いたとしても。です。
「リーマスさんはふわーといていていつも甘い匂いがして優しい人なんです!」
「はいはい、わかったって、叩くな叩くな」
ぽかぽかと叩くと透けて痛くない筈なのにシリウスさんが大袈裟に痛がっていました。
シリウスさんは前、私が来ると楽しいと言ってくれました。
私も、ここに来るととっても元気になります。
ふふ。と笑った私にシリウスさんも笑いました。