数日たった土曜の朝。私は地下牢教室に向かっていました。
地下牢教室に入るのも随分久しぶりな気がします。

休み中に1ヶ月分の金平糖型、翻訳の薬がなくなってしまったので、先生にまた作って貰うようにお願いしに来たのでした。

本当は初日に来たかったのですが、廊下を歩いているロックハートから思わず隠れているうちに1日が終わってしまったのです。
……もう、大変です。

入ると前と全く変わらない薄暗い教室に、スネイプ先生とドラコくんと、フリント先輩がいました。

背の高いフリント先輩が私を見て、怪訝そうに顔を歪めます。怖い。
ですが先にドラコくんが話しかけてくれました。

「あぁ、リクか、久しぶり。おはよう」
「お久しぶりです。ドラコくん。
 どうかしたんですか?」
「新しく、僕がシーカーになったんだ」

ニヤリと笑うドラコくんに私も満面の笑みを浮かべました。
両手を打ち合わせて、ドラコくんの真新しいユニフォームを見つめました。

「本当ですか? 凄いですね! じゃあ今年のシーズンもとっても楽しみにしています」

笑うと隣にいたフリント先輩がじっと私を見ているのに気がつきました。
きっとグリフィンドール寮のカラーを見ています。き、気まずい。

「マルフォイ、練習に行くぞ」

フリント先輩の声にドラコくんがクィディッチ用の手袋をしました。

「じゃあな、リク」
「はい。頑張って下さいね」

手を振って見送り、私はスネイプ先生を見ました。
私の用事はスネイプ先生にです。

あれ、でも。

「今日ハリーくんも練習だった気が」
「相変わらず足りない脳をしているようですな」

脳は足りてますよ多分。
むーとしてから意地悪なスネイプ先生を見ました。

1番前の机に鞄を置いてから、教卓の前にいきます。

「朝早くにすみません。翻訳の薬が少なくなってしまって、また作って下さい」
「出来ている。持っていけばいい」

今日、お願いして後日取りに来ようと思っていたのですが、スネイプ先生仕事が速いです。

また新しく渡された瓶と今まで持っていた瓶を交換してまた輝く金平糖を見つめます。
まだこれの味には慣れていませんが、この輝きは綺麗で好きでした。

「先生。これ、もっと甘くできませんか?」
「効果が薄れるようなことはやらぬ。
 そんなに嫌ならば英語を覚えたまえ」
「英語…難しいです」

ふい。と視線をそらすと、積み重ねられた大鍋が目に入りました。短い私の悲鳴。

「休み前に綺麗に洗ったんですよ!?」
「使えば汚れる」
「また綺麗に洗って置いておいた方がいいと思うんですけど」

私はぷいと大鍋に近付くとまた1つずつ鍋に魔法をかけて綺麗にしていきました。
スコージファイ(清めよ)。と言っている間、またスネイプ先生は自分の調合を始めました。

このスコージファイの試験があれば1位取れる気がします。

また、去年と変わらない、スネイプ先生との無言の、でも不思議と悪くはない空間でした。


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