今年の歌はホグワーツの4人の創始者の話でした。

4人の友人が知識を残すために学校を作ったこと。
4人の異なった言い分により、4人がそれぞれに寮をもったこと。
その内いつのまにか亀裂が広がり、スリザリンは離れていってしまったと。

4つの寮を振り分けるために、組分け帽子が生まれたということ。
組分け帽子はその四分割を、憂いている部分もあるということ。

そして警告を。

帽子が再び動かなくなった時、疎らな拍手が起こりました。
囁く大広間の生徒達。私も表情険しく帽子を見つめていました。

これまでの帽子は歴史を語ることはありましたが、警告をすることはなかったのです。

再び、マクゴナガル先生の声が響き始めると、ガヤガヤ声が突然消えました。

組分けが始まり、ここは毎年と同じようにゆっくりと1年生が組分けられていました。
最後まで組分けが終わるとダンブルドア校長先生が立ち上がりました。

「新入生よ、おめでとう。古顔の諸君よ、おかえり。
 挨拶するには時があるが、今はその時にあらずじゃ。
 掻っ込め!」

嬉しそうな笑い声が上がり、料理が現れました。

喉が渇いていた私もレモンジュースに手を伸ばします。
お腹も減っていますが、どちらかというと今は眠さの方が勝っていました。

やがて生徒達がだいたい食べ終わると、ダンブルドア校長先生が再び立ち上がりました。

いつものように禁じられた森に入らないことと、禁止事項を述べて。
そして2人の先生の名前を挙げました。

「グラブリー・プランク先生は『魔法生物飼育学』の担当じゃ。
 さらにご紹介するのがアンブリッジ先生。『闇の魔術に対する防衛術』の新任教授じゃ」

校長先生がそう言うと、アンブリッジ先生は突然「エヘン、エヘン」と咳ばらいをし、立ち上がりました。
一瞬驚いた様子の校長先生でしたが、すぐに優雅に腰をかけます。

これまで新任の先生がダンブルドア校長先生の話を途中で遮ったことなどありませんでした。
ニヤニヤしている生徒が多い中、先生達はキッとアンブリッジ先生を睨んでいました。

「歓迎のお言葉、恐れ入ります。さて、ホグワーツに戻って来られて本当にうれしいですわ――」

アンブリッジ先生の長い長い演説を、私は静かに受け入れるだけでした。大広間の生徒達は突如襲ってきた眠気と対抗しているようでした。

「――開放的で、効果的で、かつ責任ある新しい時代へ」

ダンブルドア校長先生の拍手。演説が終わりました。
まだらな拍手が終わるとダンブルドア校長先生は再び話を続けました。

そして周りがガタガタと騒がしくなりました。お開き宣言をしたらしいです。

ですが、くたとテーブルに伸びる私。その前で、フェインが私を守護するように身体を持ち上げていました。
グリフィンドール生の何人かが私に声をかけようとしてくれましたが、フェインが短く静止の声をかけると、みんな私を放って寮に戻って行ってくれました。

大広間の生徒が引いて疎らになっていくと、教職員席の先生方が伏せている私に気がついたようでした。

「あら、具合でも悪いのかしらね」
「私の寮の生徒です」

アンブリッジ先生とマクゴナガル先生の声が聞こえました。
そして近付いて来るマクゴナガル先生の足音。

「Ms.ルーピン?」

かけられた声に私は少し微笑みました。
マクゴナガル先生にだけ聞こえるように声を絞ります。私はアンブリッジ先生のお話をまとめていました。

「魔法省は本気でホグワーツに介入する気なのでしょうか?」
「……えぇ。そうです。
 近々、教職員のチェックも入るでしょう。貴女も目立つ行為はしてはいけませんよ」

騎士団員としての会話にマクゴナガル先生がキッと表情を険しくします。
私はアンブリッジ先生に気が付かれない程度に、マクゴナガル先生に微笑みました。

マクゴナガル先生が校長先生に振り返り、声をかけます。

「体調が優れないようなので、彼女を寮まで連れていきます」
「お願いじゃ。ミネルバ」

ダンブルドア校長先生が微笑みます。私はゆっくりと立ち上がって、マクゴナガル先生についていきました。

大広間を抜け、一緒にグリフィンドールの談話室を目指します。
その間、私は何度も目元を擦っていました。眠たいのは本当なんですって。

談話室の扉が見えてきた辺りで、マクゴナガル先生が私を見ました。

「合言葉は『ミンビュラス ミンブルトニア』です。
 本部への報告は私達が済ませますから、貴女は学業に専念しなさい」
「み、耳が痛いです、マクゴナガル先生…」
「今年の変身術も難しいですよ」

厳しいマクゴナガル先生に、むーと顔をしかめてから私はペコリと頭を下げて談話室の扉を上がっていきました。

明日から、またホグワーツでの日々が始まるのです。


prev  next

- 146 / 281 -
back